2月は逃げるといいますが、来週はもう3月…ただでさえ少ない日数なのに、祝日が2回もあるため尚更…2月の祝日「建国記念の日」は八咫烏に導かれた神武天皇が、日本の国を建国した日…とされています。

そして、今上陛下生誕の日、下記の内容でリモート読書会を開催しました💻

 呪言(コトホギ)申し上げます。弥栄(イヤサカエ)なれ。万歳(バンザイ)も、御代が永く続きますようにというような意味合いですね。2022.2月2nd Memory バンザイ!

日時:2022年2月23日(水・祝)10:30ー12:00

場所:ZOOM

参加者:5名    男 3 女 2

お題:荻原規子 💎「空色勾玉」🔮

今回も初参加の方をお迎えしての開催でした。神話に関係した土地からのご参加、ありがとうございます。

これまで2月は、「国」をモチーフにしたファンタジーということで、「八咫烏シリーズ」「十二国記シリーズ」「ナルニア国物語・魔術師のおい」を取り上げてきましたが、日本の古事記・日本書紀をベースにした「勾玉三部作」の一、「空色勾玉」を満を持しての課題採用です。水の乙女が主人公だけに水曜日開催?

輝(イザナギ)と闇(イザナミ)の一族の戦いが続く世界。闇の一族・水の乙女であるサヤが、輝のプリンス・月代王に見初められて宮中にあがる。シンデレラストーリーと思わせて、幽閉されていた末弟、風のチハヤと出会う。チハヤは男だけど巫女の恰好していたので、ガール・ミーツ・オトコノ娘。「空色勾玉」はデビュー作にして1988年上梓。なんか色々とすごいね。

おっかない女帝・照日王の追っ手をかわし、手を携えて闇の勢力のもとに逃げ込むが、チハヤの持つ【オロチの剣=神殺しの力】は切り札になるかもしれないが、内部から陣営を破壊しかねない諸刃の剣。

二転三転する両陣営の戦いの末、再び始祖の二柱は相まみえる・・・? 

ストーリーはざっとこんな感じ。元ネタである記紀(古事記・日本書紀)のエピソードをうまくつぎはぎし、そもそも記紀もまた話の大筋は同じでも、細かいところは違っていたりするので、これはある意味、第3の日本神話とも呼べるかもしれない。

私は7年ぶりの再読、他の参加者さんは全員が初読という構成でした。徳間文庫版が2010年に発売されてのち、版を重ねて今でも普通に注文すれば手に入る作品・・・根強い人気を感じさせます。

参加者の皆さんの感想として

〇 童心にかえってワクワク読んだ。

〇 不思議、奇妙なストーリーでありながら、能天気なキャラクター像がマッチしている。

〇 自分の読みたいものを書いた=デビュー作でこれはすごい。

〇 魂が入れ替わる設定など、ストーリーを進める上でよく練られている。

〇 すべてが収束して、ハッピーエンドにもっていく終わらせ方が見事。

〇 日本人になじみの深い太陽の女神が敵のボス。主人公側の戦いは、神社に収められた鏡をかち割ってゆく・・・アニメ化とか、やっぱ難しい要因?

〇 ちはやふる、は神にかかる枕詞。章の冒頭に和歌をもってきたり、作中でも歌会で男女が恋のやりとりをしたりと、日本的な小説。

メインとなるキャラクターについては、主人公であるサヤやチハヤについての意見交換が活発になされました。

もとはミーハーというかイケメンがタイプな(それも輝を好む水の乙女の性質といえばそうなのですが・・・)サヤが出会った、幽閉されていたせいで男女の機微はおろか社会的なことについて「真っ白」な状態のチハヤ。神と人との境を漂いつつも、青い勾玉の放つ光に導かれ、この少年少女がやがて辿る道・・・。

サヤが月代王に向ける恋慕の感情、月代王がサヤに抱いている感情・・・そこに損得はあるのか、はたまた親である男神、女神の複製体ゆえの行動原理なのか。

朝チュンというかピロートーク的な一場面が挿入される、照日王と月代王の描写・・・子どもはなんかそのまま流しそうだけれど、大人の読者はちょっと気になる。でも別に単性生殖というか、お父さんの目から出てきた姉と弟だから、そこまで気にしなくてもいいのか。というか、輝と闇の神同士がそもそも兄妹。日本で最初に結婚して、最初に離婚した。復縁したい夫と、ごねてる妻。それぞれ別に設けた子ども同士が恋をしたら、親としては、いろいろと思うところが出てくる。

個人的にはトリックスター的な鳥彦が一番好きです。

児童文学という、時間を超越した作品(子どもは長期休暇で時間取れるから厚くしても問題ないだろう的な)でありながら、皆さん面白くて一気読みだったそうです。コロナ禍の巣ごもり、はるか古代にトリップしてみるのも良いのではないでしょうか? 第二作と第三作は上下巻でさらにヴォリュームアップ。源流に触れるという点で、日本神話関連の本なんか読んでも面白いかも。五月蝿い(うるさい)の語源は、天上の神様が地上を覗いたときに邪悪な神が五月の蠅のごとく蠢いていた・・・からだそうです。

週の真ん中、貴重な祝日に参加いただいた皆様、どうもありがとうございました!

空色のシャツ、玉の首飾り(ループタイ)、八咫烏の上着。祝日には国旗を添えて。


水の乙女≒セイレーン ▶︎ スターバックス 
サヤ≒コノハナサクヤヒメ? ▶︎ 桜

大二病の残滓…でも、教養として神話の骨子とか知っておくと、それに影響されたネタとかわかって面白いよ。うちは一族の万華鏡写輪眼も、イザナギの洗った眼に対応してたり。つまり、どういうことだってばよ?! → ツクヨミだ。

【エンディング】空色勾玉を原作とした、ダンス振付。踊りって、もともとは神様に奉納するものだよね。

【 おすすめ本 BOOK   2nd 買ってってね 】

◯ ヤマトタケル伝説をモチーフにした「白鳥異伝」と、異国より伝来した仏教も絡む「薄紅天女」

◯ 参加者の方が紹介してくれた本。どんな文体なんでしょう。気になる。

〇 「この世界の片隅に」の こうの史代先生もボールペンで古事記漫画描いている。

〇 東亜文化大学民俗学教授・宗像教授の古代史ミステリ漫画。アマテラスが太陽で、ツクヨミが月。鼻(息吹)から産まれたスサノオは暴風とされるのが定説ですが、宇宙の天体だとするなら・・・彗星ノ王? 眉に唾つけながら読むと楽しいです。

〇 後世に影響を与えまくった、昭和の神話。体に刻まれてゆくオロチの聖痕。剣、勾玉、鏡を手に入れた少年は兜率天を抱いて神話となる。いつか、これで読書会したいなぁ。。。

◯ 2021年の漫画界を賑わせた、売れまくって打ち切りをドラマティックに回避した神漫画。人類への怒りをもって街を破壊する、巨大土偶(荒ぶる神)を鎮めるのは、埴輪に憑依した戦士とそれをサポートする神楽舞う巫女や弓や鉦鳴らし祈りを捧げる神職。神の暴れたい欲求を人間側が命懸けで「もてなす」行為・・・えっ、接待ゴルフ?!

★次回は 3/26(土) 20:30-

恩田陸👭「チョコレート・コスモス」🥋をとりあげます。

芸能一家に生まれ育ったサラブレッド女優と、学生劇団の門を叩いたルーキー女優を主軸に、伝説の演出家が手掛ける舞台の役をめぐって、女優たちの火花が散る! 集いし星屑(スターダスト)の小宇宙(コスモス)が超新星(スーパーノヴァ)・・・「蜜蜂と遠雷」に通じる【天才】の描写に酔いしれる「オーディション・バトル小説」。

バレンタインデーを絡めて2月の課題本候補にあがっていましたが、祝日2つにかかる「空色勾玉」に軍配があがりました。・・・が! この面白さは多くの人と分かち合いたいと3月の課題選定。既に満席御礼ですが、ぜひ手に取って貰いたい作品です。

空色勾玉・白鳥異伝・薄紅天女 →   紅天女 →  ガラスの仮面 →  チョコレート・コスモス

 



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