日時:2023年5月27(土)20:30-22:00

場所:ZOOM

参加者:4名    男 1 女 2

お題:沢木耕太郎「深夜特急」

 

 

楽しかった大型連休も終わり、気がつけば世界に蔓延した疫病も、5類へと引き下げられて無くなったわけではないけれど、人の外出や往来なんかも緩和されてきました。そろそろ遠出しても許される風潮になるや? とゴールデン・旅行というキーワードから「深夜特急 I 黄金宮殿」を課題に読書会を開催しました。

 

大沢たかお主演でのテレビドラマや、最近ではTBSラジオで斎藤工による朗読劇などメディア化もされているが、多くのバックパッカーたちのバイブルと称えられる作品です。「あんなのは貧乏旅行じゃねぇ」とおっしゃるバリバリの旅人も、けっきょく批判するにしても全巻ボロボロになるまで読み込んでいるという。最近の文庫が文字拡大増補版なのは、古参読者の老眼への配慮・・・?

 

全6巻の第1巻目。著者である沢木氏の実体験をもとに描かれた紀行文。インドのデリーからイギリスのロンドンまで乗り合いバスでいけるか? と酒宴で話題となり、それを証明するために青年が降り立ったのはデリー・・・ではなくイギリス租界の香港。旅行代理店でチケット手配しに行ったら、無料オプションでほかの国にも寄れるとなったら、寄るしかないよね。イギリスのロンドンを目指す若者が最初にやってきたのが、東の果てのイギリス領というのも、旅の先を暗示しているようでちょっと面白い。

 

クレジットカード決済なんかはあまり普及していない貧乏旅行。香港で出会った謎のイケイケのお兄ちゃんに紹介されたのは、黄金宮殿なる安宿。窓の外からは、軍艦島のようなボロい大型アパートでの人々の暮らしが丸見え。高級ホテルのロビーで、フリー配布されているガイドブックを手に入れて、一般的なところからディープな裏路地・ボートで澳門(マカオ)に渡って、カジノで豪遊。瞼に浮かぶ、アジアのネオン。

 

 

参加者からも、沢木氏の綴る文章からその情景が浮かぶという意見が多く、やっぱベストセラーになる作品というのは文章がかっこいいんだ。巻末カバーの沢木氏も整った顔立ちをしており、空港ではじめて声をかけてきた日本人美女や、黄金宮での姐御など、なんだかんだで女にモテる。ついでに男にもモテる。

 

私も含めて、今回の読書会のために初読という人が多く、2巻以降も「旅」を続けたいという人が多かったです。でも、なんだかんだで一番ヒットするのは、巻末に沢木氏が色んな旅の鉄人たちとの対談が収録されているところ。「旅のバイブルよ永遠なれ!」なんて煽り文、なかなか書けないよ!

 

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

 



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