世界の名作を読む読書会~Season7 #3

開催日時:令和3年1月11日(月・祝)10:00~11:30
開催場所:Zoom
課題本:ジョゼ・サラマーゴ(雨沢泰訳)『白の闇』

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『白の闇』は、コロナ禍の世の中をシサするような、もはや教訓的な作品でもありました。

カギカッコがない独特な語り口なので、
・最初はあれっと思ったが徐々に慣れてさらっと読めてよかった
・気持ちの切り替えの瞬間がわからなくて読み直さないといけなかった
・敢えて気持ちの変換点を強調せず 当事者感覚で気づかせるテクニックなのか?
・自分だけに語り掛けてくれている感じが瑛人の「香水」のようでよかった
といった感想がありました。

隔離された状況下で起こる個々の心理・集団心理について、全く同じ状況に身を置くことがなくとも、極限状態ではこのようなことが起こりうるのだということに気づかされ、色々と考えてしまいます。
「対岸の火事ではない」という言葉が、会話の中で何度も出てきました。

また、悪いことをした人物が後に死に至る といった場面がいくつかあり、勧善懲悪的なメッセージが込められているようにも受け取れました。

失明した人の中には、元々見えていた人と盲目だった人がいて、環境が変わると立場が180度変わる場面にハッとさせられたりもしました。

また、感染が始まった当初、訳が分からない状況下で隔離政策がとられたものの、結局は外の世界でもディストピア状態に陥っていたというくだりは、今のコロナ禍にもあてはまり、みなさんも色々と考えさせられる点があったようです。

「目の見えない世界のことをこれほどまでに細かくイメージして表現しているのは、すごいことだ」というご意見もありました。

神の像が目隠しされている場面や、最後の「わたしの番だわ」の解釈が色々あって興味深かったです。

このほかにもたくさんの興味深いお話を頂きました。
参加者の皆様、どうもありがとうございました。

post by いのうえ

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次回の開催予定
3月24日(水祝)20時30分~
会場:Zoom
課題本:チョ・ナムジュ(斎藤 真理子訳)『82年生まれ、キム・ジヨン』
参加申込はこちら⇒「参加申し込みについて」

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