県をまたいだ移動も解禁となり、東京アラートも解除・・・。

っても、日に日に東京の感染者が増加し、まだまだ気がぬけませんが

「新しい生活様式」とやらに、我々も適応してゆかなければなりません。

今年の折り返し地点も目前の、父の日でもある6月第3日曜日、下記の内容で読書会を開催しました。

日時:2020年6月21日(日)10:00ー12:00

場所:ZOOM

参加者:4名(男3・女1)

課題:石田衣良「池袋ウエストゲートパーク」

今回も2ndMemory初参加の方を2名お迎えしての開催でした。九州と本州からの参加、大変嬉しいです。お二人とも、他の地域で読書会に参加されている方と、ネットを通じて他の土地の読書会に参加できるというのは、やっぱりオンラインならでは。

課題としたのは、7月にテレビアニメが放映予定だった石田衣良氏のデビュー作「池袋ウエストゲートパーク」。

コロナの影響で、アニメ放映開始が10月に延びたそうです。公開してくれるだけ御の字でしょうか。小川洋子さんの「密やかな結晶」のブッッカー賞もお預けくらってるし、エヴァンゲリオン新劇場版こそが、いまの生きる糧。。。

20年前の作品で、オギャーと産まれた赤ちゃんが成人するような年月、工業高校を卒業して家業の果物屋で働く18歳のマコトが主人公・・・既に15作以上のシリーズが刊行されていますが、一応10作で一つの区切り・・・28歳くらいでキャラクターの成長は止まり、サザエさんのような循環する時間軸にいっているみたい。それでも常に「いま」の世相を鋭く切り取っているけれど。腹が出てきたり、息切れして追跡中の犯人を取り逃がしたりはカッコ悪いというより、いつまでもボーイズ&キングの呼び方ヤベェってか氷の王様って跡部様かよ! キーング! キーング!

◉テレビドラマ版から入った人、兄弟から薦められて小説を読みテレビ版、今回の課題ではじめて手に取った人など様々。

◉ドラマ版は今をときめくビッグスターなんかが色々出ている。

◉昔でいうヤンチャや不良、ヤンキー。半グレと言う言葉はまだ一般的ではなかった。

◉現在の若者が読み出したとして、PHSってイメージできるだろうか?

◉マコトの立ち位置・・・フラット。性的嗜好や所属なんかで態度を変えたりはしない。どこにも属さない、どこにも顔が聞く、誰とでも友達(仲間)になれる。困っている人を放っておけない=なるべくしてなったトラブルシューター、ボランティア精神→必要経費以外はタダ。ゆえにタカシから外注される。学歴はないが、地頭はいい。

◉マコトとは正反対に見えるタカシだが、熱いものを秘めている。群雄割拠の池袋で猛者たちを制した覇者。実業家タイプ。

◉人情物語という点から見ればマコトは「男はつらいよ」の寅さんと通ずる。

寅さんがバナナを叩き売るように、マコトも店先でバナナを売るような世界もあるかもしれない。そして寅さんとマドンナが結ばれないのが様式美のように、マコトの恋もあまりうまくいかない。

◉カラーギャングの抗争が描かれる「サンシャイン通りの内戦」。青と赤の抗争を黒と白に入れ替えると、米国でいま起きている事例にも当てはまる。

◉文章の中で、節が変わるたびに差し込まれる、物語に関連するアイコンがおしゃれ。長い節もあれば、短いものもある。文体は軽いようで、描かれる内容は結構重たい。

◉直近のシリーズに比べると、初期は結構バイオレンス&エロスなノワール小説。ウシジマくんの絵柄似合いそう。

◉オール読物連載、夢枕獏「陰陽師」が安倍晴明と源博雅のコンビが平安の闇を祓うように、マコトとタカシが平成のトラブルを解く。

◉還暦近くなっても、若者の感性を失わない石田さんすごい。

様々な意見や感想を伺うことができました。

10月からのアニメの予習や、ドラマ版は見たことがあるという人なんか、むかーし読んだなぁという人、一度池袋ウエストゲートパークに遊びに行ってみるといいかもしれません。

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!

青でも赤でもない、とチームを組んだマコトたちが身につけたのは紫

一週間前、そば屋に入ったら完売御礼。リベンジ! 新しき生活様式。うめぇ。

★次回は7月19日(日)、オンライン開催にて近藤史恵「サクリファイス」を取り上げます。

日本ではマイナーながらも、欧州では絶大な人気を誇るスポーツ・自転車ロードレースとサスペンスを融合させた、2008年本屋大賞2位。

学生時代に、陸上競技から自転車競技に転向した青年、チカ。プロとして日本のチームに所属し、勝利をもぎ取る「エース」のために身を削って尽くす「アシスト」として過ごす中で頭角を表わすが、エースの座を脅かすものは不慮の事故に巻き込まれるという。

100名以上のレーサーが参戦しても、1位になれるのは1人だけ。

チームの中でのポジション争い、そしてレースの中でチームとして求められる働きと自らの勝利への渇望との葛藤。

暑い夏、青い空、灼けるアスファルトの上を走る車輪。ワールドレースの行われる夏にぴったりの一冊。

・・・日本のロードバイクブームの立役者でもある、「弱虫ペダル」の実写劇場版も今夏公開(笑)8月からはできそうなら対面式に戻したいので、オンライン開催としては最後になるかも・・・。



参加申込はこちら⇒「参加申し込みについて」

レポート作成:はじめ