ゴールデンウィーク、楽しんでますか?

いよいよ令和に変わるときが近づいて参りましたが、下記の内容で課題読書会を開催しました!

日時:2019年4月21日(日)14:00ー16:00

場所:ワンズカフェ

参加者:4名(男3・女1)

課題:舞城王太郎「煙か土か食い物」

まさかの事前予約していた会場が3月末で閉店というトラブルもありましたが、

読書会参加者の方もちょくちょく訪れたり、個展を開いたりもした、太田町の開店15周年を迎えた老舗喫茶店、ワンズカフェさんにお世話になりました。

四人兄弟の末っ子、「四郎」が主人公だから「四月」という点から課題に選んだのですが、私にとって学生時代にデビューした「覆面作家」舞城氏は旧態依然の文芸界にボディーブローを喰らわすダークヒーローのような存在でした。マザファッカ!

改行と読点を極限まで削った文体で埋め尽くされたページを人に開いて見せて、「なんやこれ、読みづらいな」となったら「まぁ、君らにはわからんやろうねぇ」(ドヤァァ)とかね。あの頃僕らは若かった。マザファッカ!

現代で考えれば、別に物珍しさとかも感じないという意見もありましたが、前衛的ではあったのかな。マザファッカ!

デビュー作の内容がスラング入りまくりだからか、図書館なんかでも奥の書庫に追いやられているのを借りて来てくれた人も。筆名である王太郎は、おそらくアウトローのもじりなので、図書館の人にも、そこは目をつぶってほしいところかなぁ。4/30は図書館の日、いつもお世話になっております。マザファッカ!

奈津川一族、ひいては福井県西暁町を暴力で支配する家長・丸雄(0)が二郎(2)に対して行う凄惨なしつけと言う名のDV、知略で抗う一郎(1)、後に小説家となったり、ピアノを愛した文化的な三郎(3)、そして福井はおろか日本すら飛び出した不眠の外科医、四郎(4)。

西暁の町で起こった連続主婦殺害事件に四兄弟の母が巻き込まれた事で起こるノワールミステリ。

ミステリとしてはちょっとトリックが・・・みたいな部分もミステリファンからすればあるかもしれませんが、下読みではなく、現役の編集者の目に止まるチャンスがある、メフィスト賞であることから、そこは察するところかな。

舞城氏を世に送り出した編集者が、講談社の子会社である星海社の社長である太田氏。星海社タイガの書き下ろしで文庫を発刊するというスタイルはけっこう好き。でもあと50円くらい単価下げてくれると心理的に手が届きやすい。298の法則的に?

残虐非道の限りを尽くす二郎から、日本や海外のグロテスクな殺し方のあるフィクション作品やサイコパスついても話は派生しました。

ちなみに二郎は、拾った犬飼えない → お前どこやった → 川に捨てたわ → なんてこったい → その後、実はナイフで刺し殺してたのが発覚 うえあ。

作中で西暁の連続殺人事件にFBI捜査官のロバートがプロファイリングを行ったというくだりがあるけれど、これ実在する人物で「Xファイル」や「羊たちの沈黙」に影響を与え、その著作は日本でも大ベストセラー。

理解不能なサイコパスたちとの面談内容も怖いけど、最初のモノクロ写真にばっちりと死体が写ってたり、なんか中2病の人とか好みそうな内容。

私が中学の頃とかは、「多重人格探偵サイコ」とか、プロファイリングかっけー! みたいな流れがあり、「お前のその仕草は、こういった心理のあらわれや」「なにをゆうかや、んなわけなかろう」「ムキになるってことは、図星ってことやろうが。あとカシワリズムってのはさぁ・・・」「ちょお待て、人肉やなくて鶏肉になっとるぞ!」

思えば作中で使われる「どうぶつ占い」も一時流行しましたねぇ。私は象さん。

作家というのは、デビュー作もまた否応なしに「代表作」のひとつにされるもの。人によってはデビュー作こそが最高傑作、みたいなものも。

イラスト描いたり脚本書いたりとマルチに活動する舞城氏ですが、氏を語る上でこの1作は避けては通れない熊の場所。年齢と福井出身という情報以外、男なのか女なのか、はたまたユニットやチームなのか・・・いつかその覆面が剥がされる時がくるのでしょうか。

そういうわけで、平成最後の課題図書でした。ご参加いただいた皆様、どうもありがとうございました!

ワッフルうめぇ。真っ赤なベリー。

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次回は令和元年5月19日(日)14:00ー

小川洋子さんの「ことり」を取り上げます。

孤独死で発見された独居老人の家から飛び立つヒバリ。

「ことりのおじさん」と地域の人たちに呼ばれていたおじさん。

若い頃は鳥の鳴き声を出す、発達障害気味のおにいさんと暮らし、やがて近くの幼稚園の小鳥小屋の掃除をしたり・・・図書館の司書のお姉さんに恋をしたり・・・

おじさんの「死」を冒頭にもってきながら、その「生」を静謐な文章で描く小川ワールド。

愛鳥週間に、小鳥の囀りを聴きながらページをめくってみてはいかがでしょうか?

「ことり」が事前課題となった講座の動画

高松市瓦町フラッグ8Fでやるのでアクセス抜群!

参加申込はこちら⇒「参加申し込みについて」

レポート作成:はじめ