長い連休も終わり、その分仕事のしわ寄せがどっと押し寄せた五月中盤。
 
 
子どもの日、みどりの日、憲法記念日、すべてを内包する作品として「ピーター・パンとウェンディ」の読書会を開催しました。
 
日時・2018年5月20日(日) 10:00ー11:30
 
課題「ピーター・パンとウェンディ」
 
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会場 本屋ルヌガンガ
 
参加者・6名(男3・女3)
 

満席御礼!
 
今回も初参加の方をお迎えしての開催でした。
 
私の都合で、いつもより30分短縮でしたが、まだまだ語り足りないくらいの盛り上がりでした!

 

 
さて、ピーター・パン。
 
私なんかは、むかーし、日曜日のゴールデンタイムにやってたTVアニメの記憶がおぼろげにあり、キャラクターや影を忘れていき云々ぐらいしか予備知識なく、絵本なんかではなく原典を手に取るのははじめてでした。
 
面白い事に、他の参加者の人たちも、ディズニーやその他ヴィジュアル化されたもので触れた事はあっても、きちんとストーリーを知ったのははじめて…主催も含めて、全員が読書会がきっかけで読んだという事に! こういったのも課題読書会の面白いところですよね。
 
 
大人になった視点から読むと、どうしてもピーター・パンは子どもや、ガキといった印象がぬぐえないのですが、誰もが子どもの頃はそういった一面があるのも事実。
 
大人が読むと、寄り添うのはウェンディら3人きょうだいを養う両親、といった意見も多々。もっとも、シッターに野良生活をしていたニューファンドランド犬をあてがい、他所に「あの家、シッター雇う金持ってないんじゃないか」とか思われるのを気にする善良な市民ですがーーそもそも犬が喋る時点(第1章)でツッコミ不可避。犬はなにかの隠喩で本当は人なんじゃあ…とも思いましたが、どうやらガチで犬らしいとの事がわかり、想像力が欠如した大人はもうここでネバーランド入国が難しい状態です。
 
 
そんな「私たち」を助けてくれるのが、著者であるバリー先生。物語は一貫して、著者の語り口調で進んでいきます。
 
 
ピーターが常世の楽園・ネバーランドにいなければ、海賊・子ども・インディアンは夜まで終わらない追いかけっこを続け眠るも、ピーターが帰還すればたちまち武装し殺し合いが勃発する。ピーターは読み書きできないが、多少学のある子どもはそれを隠さなければ島では生きてゆかれない…ピーターは子どもだけれど、自分が一番でないと許せない。だから、大人というのは存在自体を否定したいし、永遠の子どもであるピーターよりも肉体、知力ともに上回るような子どもはいらない…一昔前、「トリビアの泉」でピーターが「間引き」をするというネタがありましたが…。まんざらネタでもない模様。
 
 
そういった事もあり、大人の化身とも言える「フック船長」についての話題も盛り上がりました。
 
ピーターに左腕を切り落とされ、恐怖で部下を支配する恐怖の海賊王。秩序を乱すものには、時にかぎ爪の左アッパーを辞さないが、ウェンディを「レディ」とした扱ったり、英国式高等教育を受けている「紳士」かつ「整った顔立ち」。もっともインディアンの王女、リリィへの扱いを見るに「ガキ」と認定すれば性別関係なく粛正対象なのですが……フック=おっさん、のイメージだっただけに、原典を読んで異なるイメージにびっくりしました。
 
 
そしてなにより、フック船長以上に多くの参加者を驚かせたギャップーーもうひとりのヒロインーー妖精のティンカー・ベル。美しい小さな女の子に見えて、嫉妬に狂いウェンディを亡き者にせんと企んだりと、別の意味で子どもの残酷さが前面に出て来ているような。
 
 
永遠に子どもでいたい、というような話題から、各々の帰りたい場所=ネバーランドについてや、「卒業」なんかがキーとなり、卒業式で泣くタイプかどうか、次のステージへ進む期待からそれほど悲しくなるような事はなかったか、等に話は弾みました。
 
 
ずーっと子どものまんまなのはアレだけれど、時々は童心に帰ってみるのも悪くないのかもしれませんね。
 
 
早朝からご参加いただいた皆さん、どうもありがとうございました!
 
 
さ、6月からがんばろ。(まだ五月病治ってないんかい!)

海賊Tシャツ。ユニクロ、少年ジャンプ40周年コラボ。
冒険、という事で「宝島」モチーフなのでしょうが、フック船長とも通じますね。
「約束のネバーランド」?


続編というわけでもなく、直接的な繋がりはないものの「ピーター・パンの冒険」(赤表紙)も面白いです。

★次回は6月17日(日)6月産まれの棋士、という事で故・村山聖九段の生涯を描いたノンフィクション「聖の青春」を取り上げます

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幼い頃に難病を発症した少年が出会った81マスの宇宙ーー将棋。
 
 
盤上では誰もが軽やかに舞えるーーその深淵に魅せられ、やがてプロを目指す西に怪童、村山聖。
 
 
生涯の師との出会い、そして生涯をかけて追いかけた好敵手。
 
 
空前の将棋ブームの今こそ、改めて読みたい将棋ノンフィ句ションの金字塔!
 
 
…藤井六段も六月開催にひっかけれるかと思っていましたが、まさかスピード昇段するとは…やはり、天才か(カカシ先生ボイスで)
 
 
 
 

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