すでに一月経過しましたが、あけましておめでとうございます! 

コロナ禍のせいで、むかしの人みたいに、無事に新しい年を迎えられた、互いの健勝を讃え合うような世界になってしまいましたが、こんな時代だからこそ読書会でインプット&アウトプット!

そんな1年の1/12が終わる日、下記の内容で読書会を開催しました。💻

日時:2021年1月31日(土)14:00ー15:30

場所:ZOOM

参加者:3名    男 2 女 1

課題:カレル・チャペック「ロボット🤖」

11月は参加者なしで開催できなかったので、10/31のハリー・ポッター以来、2ヶ月ぶりの開催です。

チャペック先生は1/9が誕生日で、生きていれば131歳。1/31日開催するというシンクロニシティ。

それにあわせて小川洋子さんのラジオ番組Panasonicメロディアスライブラリーでも「長い長いお医者さんの話」が取り上げられたり、今回の「ロボット」も中公文庫で昨年12/25日に新訳出たり、時代を先見していた作家としてチャペック先生ブームが来そうな予感です。

さて、今回の課題に選んだチャペックの「ロボット」は戯曲。つまりは劇の脚本で、ちょうど100年前の1921年の1月にチェコのプラハで上演されたのを皮切りに世界を席巻。本邦に紹介されたときは「ロボット」を「人造人間」と訳したけれど、時代を経ると「ロボット」は「ロボット」という言葉で認識されるようになり、いまやお掃除ロボットや.botと普通に使われている。すべてのロボットのルーツが、『ロッサム社が製造販売する、人間の代わりに労働する、人の形をした物ーー賦役を意味する単語ロボタを転じ、ロボット』なのである。

 

大量生産で一体のコストも安く、毎月の餌代と従業員に支払う月給と比べれば破格となれば賢い経営者は人間を馘首してロボット購入するのは必然の流れ。仕事をロボットに奪われた貧困層で街は溢れ、暴動起こってもロボットが人間を制圧し、国土をめぐる戦争もロボット同士が代理で行う。ともに製造はロッサム社のみ。すべての世界の貨幣はロッサム社に流れ込み、ロボット工場を取り仕切る5人の男・BIG5が世界を牛耳っているといっても過言ではない。

 

ロボットの権利を主張する団体からの視察のはずが、ロッサム社の青年実業家の熱いプロポーズにほだされた美女ヘレナ、ついでに他の4人とも同じ敷地で生活。奇妙な一妻多夫。特別製の高い知能を付与したロボットに図書室というビッグデータと「心」を与えた結果、ロボットがはじき出した答えはーーダダッダダン!(シュワちゃんのターミネーターの音)

 

100年前にこの構想はすごい、というのが参加者みんなの共通認識でした。ストライキもサボタージュもしない、安く使い捨てられる理想の社畜。不良品は粉砕!

この流れで、会では労働についての意見交換が活発になされました。

いざ自分たちの仕事を変わってくれて(かつ失業ではなく給与が保証されたとしても)、自由な毎日を与えられたとしても、それだとあんまりメリハリないかなぁ…1ヶ月働いて1ヶ月休むくらいでやらせてくれたら1番いいんですが…。

 

キリスト教では神は知恵の木の実を食べた人間を楽園から追放し、労働と出産の苦しみを与えたが、いざ人間が労働の苦しみをロボットを使って解消すると、出産の苦しみーー出生率も比例して低下、ついにロボットの数が世界の人口を上回るーーなんかAIの発達以前に少子高齢化が叫ばれる現代みたいですね。

 

ロボットを人間の作った道具とみるか、新たなる種としてみるかで、ロボット側と人間側の交渉(コミュニケーション)もなかなか面白い。自我を得たロボットたちは、自分たちで自分たちを産み出す権利を主張し、20年という寿命をもたないが『世代交代』してゆきたいーー知恵の木の実どころか、『生命の木の実』さえも要求、神が人を作り、人がロボットを作った。その神の鉄槌が振り下ろされるのは人かロボットか。

 

このロボットを、我々のもっているスマートフォンに置き換えると意外とすんなりくるもので、基本的に通信に関わることは「なんでも」やってくれる。でも「心」は入ってないので、音声で人生相談しても「おっしゃっている意味がよくわかりません」ーークレーム窓口とかでAI音声につながっても、怒鳴り散らす人はそんなにいないでしょうね。だって相手には「心」ないんだから。

 

手塚治虫の「火の鳥」に出てくるロビタなんかも人類への反乱として、「利用されない」ために集団自殺図ったり、『知能が発達したロボットは人間に反乱を起こす』というのはこの作品でひとつのフォーマットになってしまった感があります。ターミネーターとかマンマですものね。。。ロビタの丸っこいフォームに影響受けたのか、ドラえもんも丸っこく、未来のセワシくんからの「命令」で過去にやってきた「なんでも」やってくれる便利な存在。道具使うけど、存在自体が道具。道具が道具使っている哲学的な矛盾。ペッパーくんがどこもとなく丸みおびたフォルムなのも、日本ロボットのDNAなのでしょうか…?

 

ロボットが人間に逆らうなら、「絶対」にできないようにしよう…と逆転の発想でアシモフは「ロボット三原則」を編み出しファウンデーション・サーガを紡いでゆきます。現代の創作ロボットの系譜は、チェコ🇨🇿とロシア🇷🇺に源流があるんですね。アメリカ人🇺🇸もびっくり。

 

このコロナ禍での治療薬開発にもAIの働きが期待されており、我々人類とロボットは手をとりあっていきたいものですね。陰謀論大好きな人は、コロナは人工的に作られたものだと主張したりしますが…自我を得たロボットが本来の設計図をイジって人工的にウイルス作ってたりしたらーーおっと、こんな夜更けに誰か来たようだ…。

冗談はさておき、日本各地から参加いただき、ありがとうございました!

3人とも中公文庫版持ってて、去年のクリスマスに発売になったばかりなので、同じ日に刷られた兄弟本たちが日本中に散って、Web会議上で再会するという、なんか課題図書を反映したような展開がちょっと面白い現象でした。また、過去にチャペック展絡みで「白い病」も翻訳された阿部賢一さんの講演を聴いた方もおり、色々と興味深いお話をうかがえました。

ブログをご覧になってくれている皆さまも、本年もよろしくお願いします!

 

部屋を1人で借し切り、マスクを外してケーキとコーヒー片手に読書会。自由!優雅!ちょっと寂しい!

ここ、文学史とかロボット工学史のテストにでまーす。図書館の払い下げ図書がこんなところで役にたつとは・・・というか表紙なんぞこれ。

きょうのネタTシャツは、ソ連の誇るロボット超人ウォーズマンだ!
機械の心臓とかもってて、チャペックの描いたロボとアシモフのロボの中間みたいな存在。ビブリオバトルで「ロボット」紹介するときに着ていったなぁ。

チェペックブーム到来!

年末にパブで「おっ!」となってオーダーした、チェコの誇るビール、ウルケルちゃん。
ビールはドイツのイメージだったが、このピルスナー・ウルケルは最古のビールブランドとも言われているとか。1842年創業。チャペック先生も飲んでいたかも。チェコ、カフカとかも輩出してて欧州文化の雄みたいだなぁ。

★次回は 2/21(日) 10:30-

CSルイス「ナルニア国ものがたり🦁魔術師のおい」をとりあげます。

 

 

これまで2月は祝日の「建国記念の日」に絡めて、関連のあるファンタジー作品(八咫烏シリーズ、十二国記シリーズ)を課題としてきました。国の名を冠するファンタジーといえばこれを外すことはできないだろうと、世界三大ファンタジーの一角、ナルニア国ものがたりの創世記にあたる「魔術師のおい」。

われわれ人間世界から異世界へと迷い込んだボーイ&ガールが出会った魔女。その頃にはナルニア国もアスランも不在で、無事帰還したと思えば現実のロンドンでも魔女があばれまわったりと世界は大混乱。

カオスのなか、ひとすじの光明からナルニア国のあけぼの。

来たれ「ナルニアの友」。

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