ついに桜も開花宣言!
下記の内容で、課題読書会2nd Memory が開催されました。
日時・2019年 3月24日(日) 14:00ー16:00
課題・ケン・リュウ「もののあはれ」
会場・タリーズコーヒー高松サンシャイン通り店
参加・6名(男3・女3)
この時期、風が冷たかったりもしますが、いよいよ春といった陽光も感じますね。そんななか、3月17日に、お隣岡山県で開催された「小さな春の本めぐり」のコンテンツのひとつ「一箱古本市」に出店してきました。春の嵐で、雨と暴風に祟られたりもしましたが、色々なお客さんに遊びにきてもらえて楽しかったです。
3月11日から1週間、東京研修できっと疲れてるだろうから2ndMemoryは次の週に延ばさせてもらおう・・・と思っていたところに店主募集でしたので「おっ、いけるやん」と申し込んだ口ですけど、まぁ春分の日がなければ過労で倒れてましたね。。。
そして1週間で体調を整えての、読書会当日。
今回も初参加の方をお迎えしての開催でした。
春に向けて、読書会に参加してみようという方を、フレンドパークは応援しております。気軽に遊びにきてくださると幸いです。
さて「もののあはれ」。中国生まれ、アメリカ育ちというケン・リュウの作品の中で、本邦に初めて紹介された作品がこの作品です。
やがて衝突する小惑星により崩壊する地球から、一握りの人々を乗せて飛び立った宇宙船。
その中で「たった1人の日本人」である大翔(ひろと)を主人公に描かれるSF短編となっています。
パニックにならずに列に並び、敬老や博愛の精神を持つ民族として描かれる、我々、日本人・・・8年前の311ーー東日本大震災で世界に報道された日本人の姿にインスパイアされているであろう描写の数々・・・かつて滝川クリステルは東京で財布がなくなると無事に出て来ると五輪招致でプレゼンしましたが、んなこたぁない。財布は闇へと消え、災害が起こればコンビニは略奪の舞台と化し、ATMは重機で破壊され、平和な日常でも限定品に群がる転売ヤーたちと、大枚はたいて競り落とす者。この国のモラルは・・・
そんな今作ですが、女性陣からは普段SFを読まないため、出だしがとっつきにくかったという意見が多く出ました。
一方で、こういった地球を脱出して移住先の惑星へ何世代もかけて進んでゆく宇宙船というのは、どこか既視感がーーというか、ありふれた設定でもあるのですが、そこに「日本人最後の生き残り」というマイノリティをもってくる著者のセンスが光ります。
主人公の名前が「ヒロト」なのは、「ヒーロー」とかけている? という意見には目から鱗でした。
「紙の動物園」が「母」との物語であれば、今作は「父」との物語とも呼べ、日本人である事を忘れるなと語る、厳しい父親像・・・男性が、という点からはヒロトの岳父であり、父と母のかつての親友であり三角関係にあったであろう博士について、連れて行こうと思った女性に断られて子どもを託されたら、自分ならどうするか? といった話題で盛り上がりました。
私なら「あーあ、せっかく助かったのに。じゃあ家族仲良く爆発四散しろ」と呪詛の言葉を吐いて宇宙船に乗りこみますけどねぇ。。。
ラストとかの展開は、ハリウッド映画的な星条旗はためくもとで! のノリなのですが、こういったところはアメリカ育ちらしいところが出てるのかなぁ。
「同じ」アジア出身で「異国」育ちの人間が書いた我々「日本人」の姿、作中で地震、台風、津波、火山と天変地異の巣窟のように描かれる国が直面した未曾有の大災害・・・大を活かすために喜んで捨て石となる自己犠牲、散りゆくものの美しさ。
これからの桜のシーズン、はなびらを眺めて感じるワビサビを作中にリンクさせて読んでみるのもまたオツなものではないでしょうか?
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!
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★次回は4月21日(日)14時ー
舞城王太郎のデビュー作「煙か土か食い物」を課題とします。
代々政治家を輩出する、福井県の名家・奈津川ファミリーに産まれ落ちた、一郎・二郎・三郎・四郎の四兄弟。
米国で外科医として働く四郎のもとに、郷里から凶報が届いての帰国。
暴力と血で呪われた奈津川サーガのはじまりにして、様々なミステリ作品を世に送り出してきたメフィスト賞を穫り、いまなお「覆面作家」を貫く舞城王太郎の原点。
参加申込はこちら⇒「参加申し込みについて」
レポート作成:はじめ