大型連休も終わり一週間。じょじょに五月病から日常生活に順応してきた感じの風薫る五月。

 

課題図書型読書会2nd Memory(セカンド・メモリー)が下記の内容で開催されました。すっかりアイスコーヒーがおいしい季節です。

 

 

課題図書:「虞美人草」

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会  場:珈琲哲学高松店 14時ー16時
参 加 者:5名(男4・女1)スタッフ含む

 

今回も初参加の方をお迎えしての開催でした!

 

今作は2人の女の間で揺れ動く将来有望株の男を描く、夏目漱石が二足の草鞋ではなく、商業作家一本でやっていくと決意し、朝日新聞で連載された記念すべき1作です。

 

 

作品の中心人物のひとりである、溌溂とした美女・藤尾さん。彼女は親同士が決めた相手(外交官試験浪人)よりも、論文を提出すればエリートの仲間入りが約束されている若き学者に狙いを定めた、漱石的に勧善懲悪の「悪」の部分を設定されたキャラクター。

 

 

これまでの「文壇」というフィールドから、「新聞」という大衆寄りの媒体だったためか、漱石の思惑からやや外れ、意外に人気キャラクターとなり、三越では藤尾の名を冠したグッズが飛ぶように売れたとか。

 

 

これに懲りたのか、漱石が「男と女」の関係を描くのは遺作である「明暗」までお預けになった模様。あとは「男と男」の関係ですね。やや話は脱線しますが、「こころ」をBLとしても読めるというのはけっこう斬新な説ですよね。どっちかというと私はマント羽織った詰め襟制帽のナンバースクールの男の子同士というのが安易に脳裏に浮かんだりしますが。。。

 

さて。

 

作品内容については、

 

・2人の男を手玉に取ろうとした藤尾は当時の観点からすれば「悪女」かもしれながい、現代に置き換えれば、女の方が恋愛の主導権を握るのは珍しくもない。早すぎたモダンガールの印象。

 

・容姿で好印象をもたれる。「美しいのも罪ですか」

 

・最後には2人の男、どちらとも結婚できず自殺してしまう藤尾。悲劇のようだが、残された人たちはなんだかんだでうまくやっている。

 

・主人公は誰なのか? 誰もが主人公になりうる?

 

・文章が難しかったが、短い文節や文末といった文章が不思議で、斬新だった。

 

等の意見が交わされました。

 

「悪女」の点から話は近代文学の三大悪女ーー「或る女」「痴人の愛」「悪女について」に派生したり、いまも昔もエリートとなるには金銭的な問題が大きく、現代ではエリートも純化されてきているのでは? といった話も。当時としても難しいエリートへの入口まで導いてくれた恩師を裏切るような行為は、やっぱり褒められたものではないだろうけど、潤沢な財産と恩師の娘よりもタイプな容姿だと、クラクラしてしまうのは、少しだけ共感できるーー。

 

けれど、個人的な意見だと、外向的性格の藤尾さんよりも、恩師の娘で奥ゆかしい小夜子さんの方がタイプだったりすのですが、参加者の方の述べられた「2種類の女」ーー女はきついか、“もっと”きついかのどちらか。

 

・・・。

 

だったらせめて、私はノーマルなきつい方かなぁ。

 

今年は夏目漱石生誕150周年にあたる記念イヤー。

 

ネットの青空文庫で「虞美人草」はもちろん、ほとんどの作品は無料で読めるので、短いものからでも手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

参加者の皆様、ありがとうございました!

「母の日」という事で、会場である珈琲哲学様で、コーヒーロールケーキを1本購入。外はほろ苦く、中は甘い。
娘に対して「あっちの方が優良物件じゃない?」と口出しする藤尾さんのお母さんみたいな人は、現代では珍しくないですよね。

 

★次回6月は第3週・6月18日(日)14時〜 原田マハ「本日は、お日柄もよく」を取り上げます。

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愛せよ。人生において、よきものはそれだけである。
本日は、お日柄もよく、心温かな人々に見守られ、ふたつの人生をひとつに重ねて、いまからふたりで歩んでいってください。たったひとつの、よきもののために。おめでとう。

「6月の花嫁」からイメージを膨らませての選書です。

 

平凡なOLが、片想いの相手だった男性の結婚式で出会ったのは、デキる女オーラ全開の「伝説のスピーチライター」。
スピーチライターとは、時に政治家のブレーンとなり、聴衆の心を打つスピーチ原稿を作りあげる存在。
会社の広報チームに配属された事も後押しとなり、彼女に弟子入りするが、政権交代劇により多くの海千山千の議員が伏魔殿より野に放たれた。

 

かつての想い人だった青年もまた、政戦に臨まんとし、影で支えるスピーチライターを主人公に依頼。かくして言葉を武器に、勝利へと導けるか。そして新たなる恋の予感!?

 

 

参加申込はこちら⇒「参加申し込みについて」

レポート作成:はじめ