今更ながら、あけましておめでとうございます🎍 

今年も読書会フレンドパークをよろしくお願いします! 

1・2・3 ワン・ツー・スリー トラ・トラ・トラ!

下記の内容でリモート読書会を開催しました💻

 

日時:2022年1月23日(日)10:30ー12:00

場所:ZOOM

参加者:5名    男 4 女 1

お題:中島敦 🐯「山月記」🌕

今回も初参加の方や、お久しぶりの方など、私含めて5名での開催でした。たくさん集まっていただいて嬉しいです。

「山月記」高校時代の教科書ぶりという方や、今回の読書会をきっかけに初めて読み、さらに中島敦にハマって色々読んでいるといった方など、読書会がきっかけで再読あるいは初読という報告を聞くたびに開催して良かったと思います。

 

山月記は、古代中国エリート役人、袁傪がお供を連れてぞろぞろと夜中に移動中、藪のなかから現れた猛虎に襲われるも、すんでのところで虎がまた藪に戻って「危ないところだった…」と声がする。虎が喋った! が、エリート役人はその声の主が、かつて神童・天才としての名声をほしいままにしたかつての友、李徴であると気付く。生きとったんかワレェ! というのも、李徴は詩人を志すもパッとせず、結婚して子どももいるから生活のために就職しようにも、自分よりも成績の悪かった奴の下につくのはなんか嫌だと妻子を捨ててどっかいった奴。

曰く、夢か現か、気づけば魔王ムドー…ではなく虎になっていた。人間としての思考も1日のなかで短い間は保てるけど、それ以外は虎としての生活をエンジョイし、ウサギからはじめて最近は人も狩るようになり周辺集落では「やばい虎」としてちょっとは名の知れた存在。詩人としてはパッとしなかったけどね。そんな2人の友人同士が、かつての思い出(メモリー)なんかを語り合う短編。詩人を志し、獣に身を落とすもコツコツと創作は続けてて、友に感想を求めるも

『成程、作者の素質が第一流に属するものであることは疑いない。しかし、このままでは、第一流の作品となるには、何処か(非常に微妙な点に於て)欠けるところがあるのではないか、と。』

の評価。巧い、巧いんだけどなー、なんか違うんだよなぁ。妻子ほったらかし、人であることを辞めてまで作った詩がそれかー。

ときに残月(夜明け前)、再び酔う(虎に戻る)ときがきた…と2人は別れる。トラ(酒飲み)になった酔漢もまた、残月(始発)に人に戻る。

 

すごく短い話なんですが、虎の爪痕はがっちりと参加者の心をとらえ、

○ 李徴の語る臆病な自尊心・尊大な羞恥心について、大人になればなんとなく分かる / 中二病的な? 内面に獣を住まわせ、飼い太らせる。俺が俺の中の俺を押さえているうちに早くッッッ!(なに言ってんだオメΣ(-᷅_-᷄๑))

○ 現代だと、あんまりやりたいことで再生回数の伸びないYouTuber? 凸撃します! みたいな迷惑動画でバズって、その快感に酔って真人間に戻れない。

○ 原典が人虎(狼男的な?)だったから、虎なのかもしれないが、別に他の動物でも良かった?(パンダ🐼やワニ🐊)→ なぜ虎なのか? → 猛々しいと同時に慎重なところ? 

○ 李徴は外面を気にしすぎ。自嘲癖。人であることをやめ、虎になりきってしまえばすべて忘れられるが、ウジウジと詩にしがみついている。詩を好きだからやっているのか、それとも人より優れているところを誇りたいからやっているのか。 →  仮に託した詩が都なんかで高く評価されても、「虎が詠んだ詩だから売れたんだ。けっきょく俺はイロモノ枠だ…誰も俺の才能を認めてくれない…」皮肉、ネガティヴ。

○ ラストシーンは余韻がいい。現代の創作物とかだと、いらない後日譚挿れられそう(その3ヶ月後、虎が退治されたetc…)/ ラストで人間としての李徴に戻れるかと思ったが、虎のまま、また藪のなかに戻ってしまった。何が李徴には足りない? / 虎は死して皮を留め、人は死して名を残すーー李徴、社会的に死んでる。天才の名も過去のもの。

○ 「危ないところだった…」と虎から人としての自我を取り戻したとき、【かつての友を襲わないで良かった】のか【人間だから襲わないで良かった】のか。友だちだから食べない、他人は食べてOK。いやいや人が人喰ったらダメでしょ。ここをどう解釈するかで、李徴像はかなり変わってきそう。

ざっとこんな感じですが、他にもわいわいと話題は尽きず、あっという間の90分でした。寅年最初の読書会、虎のように勢いよくスタートできました。

参加いただいた皆様、どうもありがとうございました!

いつものオニツカタイガーも飽きたなぁ…と「文豪ストレスドッグス」の中島敦をイメージして、サスペンダーとネクタイ。zoomの背景も、草叢らしきものをイメージしましたが…わかってもらえました?(知らんがな)

○読書会後に、お気に入りのブックカフェ「ゆるりと。」さんへランチに。大繁盛で、いつも座ってる席が埋まってて通された席で「そ、その背表紙は我が師、中島敦先生ではないか?!」シンクロニシティに驚く。

【エンディング】プロの方がYouTubeに朗読アップしてくれております。

【 おすすめ本 BOOK   2nd 買ってってね 】

 

◯ 様々な実在の文豪にインスパイアされたキャラクターたちが登場する、若者に人気の作品。メインキャラクターである「中島敦」は虎に変身する能力を持っている。メインに抜擢されたのは、興味持った未読のティーンが元ネタを手に取ったときに入りやすい短さだから?

 

◯ 獣に変身、というので思い出すのが私にとってはキマイラ。美少年に襲い掛かる西洋秘密結社や学園の裏組織。自我を忘れて暴れるだけであったが、やがてコントロール法を? 40年近く続いているけど、まだ完結していない。2巻から登場する、艶やかなる美技・双龍脚で戦う天才拳法家、龍王院弘は私の理想とするキャラクターでもあります。2度にわたる敗北で泥を舐め「堕ちた龍」と形容された負け犬ロードからのリベンジ。

〇 同じく夢枕獏「陰陽師」シリーズ。こちらにも、山月記を元ネタとした平安verが。

 

〇 少年漫画という点では、これもはずせないよね。自分で自分のなかの獣を飼いならすというのは難しく、槍を使い続ければやがては「とら」のような妖怪になってしまう。それを柳田国男のいうところの「妹の力」的な乙女たちのが櫛で髪を梳いてなだめすかせる・・・荒ぶるスサノオノミコトとクシナダヒメ? 香川県の女の子も出てくるよ!

◯ かつて課題にしたこともある、高校生の挑む完全犯罪。主人公が教科書のなからヒントを得て計画を練る。悪夢のなかで、国語の教科書で読んだ「山月記」を思い出しながら、自らが殺人鬼=獣(けだもの)になる。

◯ 参加者の方が、山月記からの流れで中島敦を色々と読んだなかで特に面白かったとおすすめしてくれた一編。中東あたりのアジア。夜な夜な図書館から聞こえてくる声。もしや文字に「霊」が宿っている? 調査に乗り出した博士に待つものとは。現存する最古の文字で記された文学作品は「ギルガメシュ叙事詩」なのを思い出させてくれる一編でした。当時は紙ではなくタブレットに記してた。電子タブレットじゃないよ。

 

◯ もう既に課題にしちまってたけれど、現代の文芸シーンで「虎」というイメージなら、表題作である「紙の動物園」だよね。中国が絡んだ幻想譚という点でも共通点がありおすすめです。

◯ 虎というか、ドラゴンになれそうな予感・・・! ブラジルの武術、カポエイラの道着です。南米にいるのは虎ではなく、ジャガー。韓国の武道、テコンドーは虎がイメージの道着メーカーがある。韓国の国獣が虎なのが関係しているんでしょうね。日本では鶴と錦鯉。・・・ふぅん?

 

★次回は 2/23(水・祝) 10:30-

荻原規子💎「空色勾玉」🔮をとりあげます。

光の神の末裔が治る国。「太陽」の姉、「月」の弟が政を取り仕切る中、闇の神の末裔たる「水」の乙女が宮中に連れてこられた。そこで出会う「風」の若彦。手を携えての逃避行の果て、光と闇の強大なる戦乱に巻き込まれてゆく…。

これまで当読書会でも課題にした「精霊の守り人シリーズ」「十二国記シリーズ」そして「勾玉三部作」が、いわゆる日本三大ファンタジー。

 

宗像三女神ばりに全員女性なのも面白いですね。

 

「建国記念の日」と「天皇誕生日」が重なる2月に読みたい一冊です。

 



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