まつりははじまり、そしてまたおわってゆく。

春夏秋と島々を彩った瀬戸内国際芸術祭も終わり、暦の上ではもう冬。そんな秋、読書週間に県内で2つのビブリオバトルが開催され、観戦してきたレポートです。

いつもと違う、人・場所・本ーー知を求めて遊読する三千世界。

3rd Nomado(サード・ノマド)♯20

【中学生大会】

日時:令和元年11月3日(日)13:30ーー15:30

場所:高松市中央図書館

【高校生大会】

日時:令和元年11月9日(土)13:00-15:00

場所:香川県教育センター




中学生大会は高松市教育委員会が主催のため、高松の中学生しか参加できず。高松中央図書館で行われた、高松子ども本まつりの一環として、昨年よりビブリオバトル大会を開催しています。前回は私は潮風直撃する北浜アリーで古本売ってたため見れてなかったので、高松の中学生バトルは初めての観戦でした。

高校生大会は、早いもので4回目。初回から観戦してますが、毎回会場が変わり、今回は郷東の免許センターの隣、香川県教育センター。学校長の推挙を受けた免許皆伝者の競い合い…御前試合みたいですね。こっちは県内の高校すべてに門扉を開いているのですが、高松市内の高校のみ…これは残念。

以下、紹介された本

【中学生大会】

チャンプ本。デスノートの「死神の目」のように、視界に浮かぶ「あなたが母親の手料理を食べられる残り回数」。全部消えたら自分か母親が消えるんかいな…ゴクリ。食べなければカウントされない、しかし手料理は食べられない。食べたいけど、食べたくない葛藤。たぶん、もう中学生はデスノートとか古典扱い。

外部からの転校生(マレビト)が閉ざされた学園にやってきたことで起こる事件と学園の秘密。恩田陸のデビュー作「六番目の小夜子」を彷彿とさせますね。

私が票を投じたのはこれ。4歳にしてがん。痛い治療も健気に「がんばる」と述べる女の子。そして「でも、泣いてもいいでしょう?」と続く。

文庫落ちしてたんですね。単行本の時とは変わってだまし絵的な表紙。いじめを加害者被害者といった視点ではなく「傍観者」の視点で描く。「キミスイ」の評判を聞いて住野よるの本を手に取る。そんな入口があってもよいのだ。

運動も勉強もできなかった少年が、ヨーヨーと出会ってついには世界チャンプに。さすがにこの年齢になると、好きをつらぬくのはちょっと厳しくなってくるけど、中学生や高校生はそれこそ可能性は無限大。ハイパーヨーヨー、中学の頃流行してたなぁ。

タイトルで手に取った、ドッロドロの女の園の物語。いわゆるイヤミス。誰が真実を述べているのか、そもそも全員がウソついている可能性も? 私はこんな本読んでるけどヤバい奴と思わないで! というアピールは面白かった。

【高校生大会】

予選1組 こっちは聴けてない。

みんな大好き有川浩。発表からだいぶ経ってもティーンたちに絶大な支持。

本戦出場、準チャンプ。

読書感想文で矛盾を指摘したり、深読み考察。考察厨気質のある私はちょっと読みたいと思い決戦で票を投じた。でも、なーんかテンプレート通りの読書感想文て嫌いなんだよね。この作品ぐらい尖って、職員室を敵に回すくらいがちょうどいい?

本戦出場。テニミュのオーディションに、キャラに似ているというアドバンテージで受かった俳優。最初は舐めていたけど熱い仲間の影響でどんどん役と劇にのめり込むが、不幸な事故に巻き込まれる。演劇部員が同じ役者の目線でプレゼン。本戦では唯一マイクを使わずに地声で勝負したのもポイント高い。

聴けていないけど、この前の高松の夜に行われたビブリオバトルでも三秋縋作品を若い男の子が紹介してたけど、ティーンには有名な作者なのかな?

予選2組 こっちは聴いた


チャンプ本。高校生にして学生結婚…ちうわけでもなく、我が家の父母に当てはめるとしっくりくるという掴みからの紹介。妻、と限定せず女子と拡大して読めば38人中30人というクラスの女子たちとの距離感もうまく、充実したスクールライフを送れるとか。リア充爆発四散しろ。

実はこれ、評判いいけど読んだ事なかった。主治医によるカルテという体なんですね。

韓国での厳しい女性差別。程度の差はあれ日本でも。

祖父の書店を継いだ青年の前に現れた猫。誘われるは幻の迷宮世界、相対する様々な本を虐げる人々。インプットも大事だが、行動、アウトプットしてはじめて力になる。それをビブリオバトル出場という形で実践。その意気やよし!

自身も声優を目指すバトラーが語る、声優青春小説。予選では票を投じた。ほんとうに滑舌のいい良い声をしていた。ビブリオバトルにおけるフィジカルに恵まれたタイプ。しかし本戦でマイクを通すとせっかくのいい声が半減された気も。夢や目標ありますか? と客席に問うて、かっこつけてあるの方で挙手しましたが、ごめんね、うそ。おっちゃんお先真っ暗よ。

いやぁ、この一週間、中学高校と熱いバトルを楽しませてもらえました。

ただ残念なのが、観客は父兄や学校関係者と思われる人がほとんどだったこと。

もう少しバンバン告知しても良かったかなぁと思うと同時に、中学生大会も香川県全域に門扉を開いた大会があってもいいだろうし、はたまた高校生は過去には東讃や西讃からも参加してたのに高松市内の高校だけと参加校、観客も数が縮小気味なのが残念。

ビブリオバトルは「どの本が一番読みたくなったか?」が投票基準ですが、やっぱりチャンプ本バトラーはたいていプレゼンが上手い。プレゼンの上手い下手は本来の基準から離れているのですが、これはちょっと難しい問題。トップセールスマンはたいてい弁舌さわやかだったりするしね。プレゼン能力は、たしかに大きな武器のひとつではあるでしょう。実際、学校教育でビブリオバトルを導入する中で、副次的にプレゼン能力向上が期待されておりますしね。伝えたい想いを伝えるために本人の力が伸びていくのは喜ばしいですが。

なにはともあれ、バトラーの皆さんおつかれさまでした。また来年、楽しみにしています!

★11/30 テーマ「おわり」ビブリオバトル 残席 わずか!

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レポート作成:はじめ