週明けが一気に冷えると予報されているも、ぽかぽか陽気の将棋の日ーー11/17。

香川県内の高等学校の生徒たちによる書評合戦ーービブリオバトル大会が開催されました。

いつもと違う、人・場所・本ーー知を求めて遊読する三千世界。

 

3rd Nomado(サード・ノマド)♯13

 

日時:平成30年11月17日(土) 13:00ー16:00

場所:香川県社会福祉センター7階 大会議室

ついに3回目を迎えた、高校生大会。第1回目で2年生だった人なんかは、既に卒業していると思えば、色々と感慨深いものがありますね。

今回からは「応援席」が設けられました。これは、発表者(バトラー)の親族や友人などで、どうしても票に私情が入ってしまいそうな人なんかが観戦する席。ここに座る人は投票権を持ちません。

本来なら、聴衆もまたどの本に投票するか、を考えることでバトルに「参加」しているものなんですけど、主役である「本」よりも「人」が先にきてしまう人もいてしまう・・・にんげんだもの。

香川県大会では、前回、前々回と観戦してきましたが、チャンプ本に選出されたバトラーは優れた弁士でしたが、世の中には組織票なるものが介在するビブリオバトルもあるらしいです。

この辺は、教育現場で行われるビブリオバトルの孕む暗黒面というか、やっぱ全国大会まで行ってしまえば内申書とか、プラスにこそなれ、マイナスにはならない・・・という部分が大きいのかな。

香川県大会では、そんな感じはなかったですけど、そういった組織票よりも浮動票をすべてかっさらってしまえば必然的に勝てるような仕組み——バトラーの関係者ではなく、まったく無関係の一般聴衆の動員もまた、ひとつの課題かもしれませんね。一般席に座っていたのは、もちろん分別のある人たちなんでしょうけど、それでも学校の先生や友人、家族といった人が多かった印象です。

なにはともあれ、熱いバトルでした。ざっと本の紹介。私は予選2組を聞きました。

 

予選1組

[amazonjs asin=”4087476952″ locale=”JP” title=”暗黒童話 (集英社文庫)”]

本戦出場。

乙一の事が好き! というのがビンビンに感じるプレゼンでした。

眇目(すがめ)が映し出す異界のヴィジョン・・・と私的にはきっとドストライクなんでしょうけど、乙一ってあんまり・・・そういった食わず嫌い的なのは覆らなかった。バトラーのキャラは好き。扇子持ってたけんど、落語とか好きなのかしらん。

[amazonjs asin=”4087471985″ locale=”JP” title=”夏と花火と私の死体 (集英社文庫)”]

なんと同じ組に乙一作品がもうひとつ。

これは票の食い合いになったと予想。

乙一のデビュー作ですが、個人的に主人公の視点人物設定はちと奇ィてらってないかい? という印象。もっともデビューからこっち、現在まで生き残っている筆力は認めざるをえないんですけど。地味に乙一と同年代の私・・・。

[amazonjs asin=”4087457516″ locale=”JP” title=”恋するソマリア (集英社文庫)”]

本戦出場。準チャンプ(2位)

昨年の準チャンプがひっさげてきたのは、アフリカの角・ソマリアに住む人々に魅せられた人のノンフィクション。昨年はカラスの本でしたが、ノンフィクションが好きなんでしょうね。

今大会の中でもわかりやすい身振り手振りのプレゼン。ジョブズを筆頭に人の心を掴むスピーカーはジェスチャーが上手い。前回と今回と、あと一歩でしたがそのスタイルを貫いて欲しいですね。ビブリオバトルも最近は色んなところでやっているので、いつか報われ、大輪の花開くときがきっときます。

[amazonjs asin=”4003127129″ locale=”JP” title=”外科室・海城発電 他5篇 (岩波文庫)”]

高校一年生女子が泉鏡花! 直接のプレゼンは聞けてませんが、最近流行の文豪モチーフの作品から、リアル鏡花にハマったそうです。そういった入口もあるんだ!

[amazonjs asin=”4163907149″ locale=”JP” title=”ふたご”]

本屋大賞にもノミネートされた、セカイノオワリの自伝的小説。なるほど、感性が敏感な高校生も聴くバンドなんだな。私は音楽方面の流行とか疎いんでアレですけど。

[amazonjs asin=”4062940698″ locale=”JP” title=”ディリュージョン社の提供でお送りします (講談社タイガ)”]

はやみねかおる先生の本だったのか! とこのブログでAmazonリンク呼び出して知った。コンスタントにティーン向けの世界で活躍しているはやみね先生には畏敬の念を抱いております。

予選2組。こっちは全部聴いたよ。

[amazonjs asin=”4309464750″ locale=”JP” title=”舞踏会へ向かう三人の農夫 上 (河出文庫)”]

[amazonjs asin=”4309464769″ locale=”JP” title=”舞踏会へ向かう三人の農夫 下 (河出文庫)”]

本戦出場。チャンプ本(1位)

予戦、本戦ともに私が票を投じた作品。過去・現在、そしてそれらを包括して傍観する「私」・・・そして緻密に構成された世界の描写。きちんと聴衆に対して「2つのポイント」とあらかじめ宣言して、受け取る用意をさせてからの物語の構成の説明、地の声と作品を語る際の声のトーン変化など、上下巻だろうが「読みたい」と思わせるプレゼンでした。

昨年は予戦で敗れたバトラーがリベンジして本戦→チャンプ→全国出場権と、なんか熱い展開ですね。健闘をお祈りしています!

[amazonjs asin=”4062770989″ locale=”JP” title=”大江戸妖怪かわら版 1 異界より落ち来る者あり (講談社文庫)”]

妖怪たちが暮らす異界「大江戸」に落ちて来てしまった、人間を主人公にしたシリーズだそうです。異界の住人つうと、イモリの薫製とか丸呑みしているイメージですが、人間とそう変わらない生活をし、食べ物も変わらない・・・否、人間が食べるものよりも美味そうなものを食べているそう。

辛い現実から逃避する異界はすぐそこ——本や漫画にある、ずっと浸っていたいけど、それもできない・・・いつか私も香月先生を手に取る日がくるかもしれない。

[amazonjs asin=”4062935619″ locale=”JP” title=”旅猫リポート (講談社文庫)”]

猫大好きだが、猫アレルギー持ちというバトラーによるプレゼン。

最近映画も公開された、有川浩の作品。

そのお菓子、どれくらい甘い?——有川浩くらい甘い、を持ちネタにする私にとって、キュンキュン要素があるのかどうかがちょっと気になったけれど、怖くて質問できない。私が犬派だったら、何か変わったかもしれない。

[amazonjs asin=”4864103135″ locale=”JP” title=”希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話”]

香川県大会、第1回のチャンプ本が「絶望名人カフカの人生論」。バトラーさんはそれがきっかけで、同著者の他の著書も手に取ったそう。ゲーテとカフカだったら、どっちかというとカフカに寄り添って読んだとの事。

大人になるとコアラのマーチを口に放りこみながら「ありえねーよ!」と「若きウェルテルの悩み」を読めるようになれます。お口の恋人、ロッテ。

 

[amazonjs asin=”4434133152″ locale=”JP” title=”インドなんて二度と行くか!ボケ!!―…でもまた行きたいかも (アルファポリス文庫)”]

本戦出場。「恋するソマリア」と日本人が異郷へ旅したレポートという点ではかぶり、票を食い合ったと予想。

中学時代に朝読で出会い、どっぷりとハマってインドについて調べて、行きたいけどやっぱこの本に書かれているような所ならやべぇな・・・となったそうです。

私もこの本持ってて、一箱古本市に出すたんびに売れ残ってる不動在庫のエースなんだわ、どないしょ!

[amazonjs asin=”4802610904″ locale=”JP” title=”アリエナクナイ科学ノ教科書 ~空想設定を読み解く31講~”]

香川県の中学生たちの恐怖の存在、診断テスト。理科をがっつりやっても、伸び悩んでいたバトラーが宮脇書店で手に入れた一冊。これを読めば科学が大好きに。

なんとタイムマシンは理論上は作れるらしい。4つのドラえもんの道具から実現可能なものがあります、10秒のシンキングカウントダウン→正解発表と、うまく時間とタイムマシンを絡めた印象かつ、300秒の持ち時間のうち10秒を「間」に投資する手腕や見事。

合計8作品のプレゼンを聞けて、大満足の1日でした。

私もまた、11/23(金・祝)のポリ裏ブックバザールでビブリオバトル参戦するので、いい刺激を受けました。やっぱ聴くのも楽しいけんど、バトルこそが醍醐味だと思います!

10/27に遊びにいった岡山大Jテラスカフェ「イチョウ並木の本まつり」の戦利品たち。お祭りのときは細かいこと言わんと、欲しいもん買ったらええねん!

11/3
海の見える一箱古本市
セカンドメモリー

まさかの海からの風が直撃コース!

売りにいったはずが、買ってしまっていた・・・

個人的には、聴く前から作品が分かっているのは一短の方が大きいような気が。

本屋ルヌガンガで帰りに購入! 
今日プレゼンを聴いた人たちが色んなところで購入→バタフライ効果的なムーブメント・・・あるか?

レポート作成:はじめ