急に寒くなってきた、雪見だいふくの日である11月18日。
 
香川県内の高等学校の生徒たちによる書評合戦ーービブリオバトル大会が開催されました。

いつもと違う、人・場所・本ーー知を求めて遊読する三千世界。

 

3rd Nomado(サード・ノマド)♯10

 

日時:平成29年11月18日(土) 13:30ー16:30
 
場所:高松市生涯学習センター「まなびCAN」
 
 
 
第2回目となる、高校生大会!
 
前回はレグザムホールでしたが、まなびCANでの開催でした。昔読書会会場だったお店があった場所の横を通り、懐かしみながら片原町へ。
 
今回は早くから開催周知されており、私も7月の時点で申し込んで予定を開けて楽しみにしていました。
 
受付すまして会場入りする時に、友達にタイムキーパーお願いして最終練習に勤しむバトラーの姿が散見されました。なんか格闘技の試合前のミットトレーニング的な?
 
13時30分に開始。主催者挨拶と選手入場ッッッ、今回は7校から11名のバトラーが名乗りをあげました。昨年は男子が1人だったのに対して、今年は3人も。文学中年としては、未来の文学青年になりうる層というのは頼もしいですね。
 
その後、5人と6人にバトラーは別れ、2つの会場で予選。
 
私はB会場へ。上位2名の票得者が決戦へ駒を進め、AB両会場の上位2名、合計4人による頂上決戦。チャンプ本に選ばれたバトラーが、来年1月に東京である全国大会の切符を手に入れます。
 
かくして、予選・本戦ともに私が票を投じた1冊、江國香織「きらきらひかる」がチャンプに選ばれました。主人公の恋愛に対しるスタンスを、理解はできないけれど、そういった考え方もありだと読了後に感じ方が変わったという点や、登場人物の誰かのどこかには聴衆である「私たち」もなにかを感じるはずという語り口に引き込まれました。
 
当然、帰りに購入ですよ。私はビブリオバトルで「読みたい」と思ったら「読む」事を心がけています。普通の読書会でも、私の紹介した本で読みたいのあれば声かけてくだされば貸しますよ。図書館で借りた本は無理だけれども。
 
以下、紹介された本
 
A会場
 

[amazonjs asin=”4151814515″ locale=”JP” title=”天国でまた会おう(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)”]
 
聞けてませんが、Web書評見るに青年たちによる国家への挑戦(詐欺)。面白そうですね。
 
[amazonjs asin=”4062638878″ locale=”JP” title=”文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)”]
 
決戦出場。
 
妖怪はもの凄い好きな私ですが、京極夏彦は読んだことがない。いつかは読むかもしれないけれど。。。
 
[amazonjs asin=”4101050252″ locale=”JP” title=”女神 (新潮文庫)”]
 
事前に何の作品を紹介するかは紙でわかるんですけど、作者が書かれておらず「女神」? と思ってましたが、三島文学! 高校生でも読む人は読むし、大人でも読まない人は読まない。
 
[amazonjs asin=”4801400191″ locale=”JP” title=”好奇心を“天職”に変える空想教室”]
 
決戦出場。
 
北海道でロケット制作に携わる著者による仕事に対する本。夢を夢のままで終わらせない。学校の先生に「この仕事に就きたい」→「夢見るのもいい加減にしろ」、そこでくじけるのではなく本での知識ーー単に先生はその仕事の事を知らないからアドバイスできないだけーー現場に足を運んで現役の人にアドバイスを貰う、等、本で得た知識をそのままにせず行動する姿勢や天晴れ。
 
まだなんの仕事にも就いていない女子高生に対して、ちょっと辛めの質問がありましたが、見事な切り返し。採用の面接だったら、採用判子レベル。
 
[amazonjs asin=”4812496012″ locale=”JP” title=”人狼ゲーム (竹書房文庫)”]
 
プレゼン聞いてなくてタイトルだけしかわからないので、果たしてこの「人狼ゲーム」なのかさだかではありませんが。。。私はやった事ないけど、それぞれの役割をロールプレイングするゲームというのは知っていますが、それ系の小説なのかな。聴衆の半分はバトラーの関係者(学校、家族)=少し年配といった印象だったので、若者の層が多ければもっと食いつきがあったのかもしれませんね。
 
B会場 こっちは全部聴きましたよ。
 
[amazonjs asin=”4062933578″ locale=”JP” title=”カラスの教科書 (講談社文庫)”]
 
決戦出場・準チャンプ(2位)
 
我々の身近な鳥類・カラス。その生態を紹介。種によっては木の枝で道具を作って狩りをし、我々ヒトやチンパンジーといった霊長類のお株を奪いにきている。霊長ならぬ霊鳥だから問題なくね? などと思った私はそうとう八咫烏シリーズに毒されている。そしてカラスをクローズアップならぬクロウズアップってか? と脳をよぎった私は完全にオヤジ化してきている。著者もまた「はじめさん」らしい。読みたい。
 
[amazonjs asin=”4101339112″ locale=”JP” title=”きらきらひかる (新潮文庫)”]
 
決戦出場・チャンプ本(1位 全国大会出場権)
 
新婚の夫婦。夫には別に恋人ーー彼氏ーー男がいた。そして彼氏の方は別に同性愛者というわけではなく、人間として夫が好きな人。世間が夫婦+彼氏に介入、必ず誰かにはシンクロしうる純愛小説。
 
江國香織はなんとなく避けていたが、読むいい機会となりました。バトラーが全国大会にどの本をチョイスするかはわかりませんが、健闘をお祈りしています!
 
[amazonjs asin=”4041008867″ locale=”JP” title=”妖奇庵夜話 その探偵、人にあらず (角川ホラー文庫)”]
 
人(ひと)と妖人(ようじん)が同居する世界。妖人絡みの事件を解く名探偵もまた、人にあらず妖人。妖人を排斥しようとする人(我々?)の姿が浮き彫りに。
 
[amazonjs asin=”4309497780″ locale=”JP” title=”なぜ脳は、ヘンな夢を見るのか? (KAWADE夢文庫)”]
 
眠っているときに見る「夢」にまつわる話。終始ニコニコ笑顔のプレゼン。レム睡眠を司る脳の部位を切除(筋肉を緩ませる働きを排除)した猫が夢を見ると、意識はないが、勝手に動き出したりする。人間にその施術をするとどうなるんだろう。夢はたいていネガティブなものだけれど、それを見ることが癒しになっている・・・らしい。夢のなかでしか再会できない初恋の人?
 
[amazonjs asin=”4591118304″ locale=”JP” title=”(Pむ1-3)コンビニたそがれ堂 星に願いを (ポプラ文庫ピュアフル)”]
 
最近私もハマってる、コンビニたそがれ堂。このプレゼンが聴きたいがためにB会場を選んだ。
 
バトラーは特別な文学青年というわけではなく、朝の10分間読書で読む本を学級文庫のなかからチョイスする時にこれを読み、ヒットしたそう。
 
銀髪の美声年(キツネの神様)がなんでも売ってる、コンビニたそがれ堂。隣に住んでる素敵なお兄さんに想いを伝えたい少女あいちゃんが買った、万年筆と物言う弁当箱。恋模様を描く作品だけに「あいちゃん」ってか? と思ったらバトラーもそんな風な事を言ってた。笑いを取りにいくタイプのプレゼン。どこか私と相通ずるところを感じた。
 
[amazonjs asin=”4062769816″ locale=”JP” title=”浜村渚の計算ノート (講談社文庫)”]

 
タイトルは知ってるけど、「あー、数学からめたミステリでしょ?」と読んでなかった浜村渚シリーズ。
 
ゆとり教育も真っ青、3.14はおろか3もーー数学が有害であると、教育界から抹殺された世界。数学復古を掲げ活動するテロリスト集団「黒い三角定規」かつて誰もが恩恵を受けた数学ソフトを使った事ある人間はウイルスに感染しているッッッ。えっ、なにこのシリーズこんな熱い設定だったの? と驚き。
 
バトラーもまた、中学時代にこの作品がきっかけで一番嫌いだった数学の教科が好きになった、とか1冊の本が世界を変えている。エウレーカ!
 
 
 
 
 
個性豊かな11作品(プレゼン聴けたのは8作品)でした。通してみると、彼岸と此岸の間に佇む謎解き役あるいは狂言回し(京極堂・たそがれ堂・妖奇庵)という物語の外枠が同じミステリ作品なんかがエントリーしているのは、ちょっと興味深い。
 
各学校ごとで、朝の10分間読書や、クラス内ビブリオバトル、文芸部内読書会なんかはあるみたいですが、各校が一同に介して何かをする、というのは珍しいんじゃないでしょうか。
 
昨年に比べて、バトラーのみんな残り数秒できっちりまとめたりとスピーチ能力が格段にレベルアップしている印象。テクニックだけで勝てるものではありませんが、熱いハートをビンビン感じて聴いてて楽しかった!
 
運営は大変かと思いますが、是非来年も3回目、4回目と続けていただき、ゆくゆくは香川県から全国大会チャンプ本を輩出するようになってもらいたいですね。
 
あと、読書会フレンドパークは誰にでも門扉を開いたゆるい読書会です。
 
もちろん高校生の参加も大歓迎ですので、気になる方は遊びにきてみてくださいね。
 
 
 

目指せ、本の甲子園!

 

ワシもバトラーで出たいのう。。。


 

チャンプ本!


 

紹介作品一覧(個人名は消しております)
昨年チャンプ本を輩出した桜井高校、決戦に2名送り込むとか、もはや常連・強豪校ですね。


 
 
言葉のプロフェッショナル、久遠久美ばりのスピーチブレーンとなって、誰かをチャンプ本に導きたい。格闘技のトレーナー的な喜び?
 
レポート作成:はじめ