長かったゴールデンウィークも終わり、すっかり日常に戻った感のある5月下旬。下記の内容で、令和初となる課題読書会を開催しました。

日時:2019年5月19日(日)14:00ー16:00

場所:瓦町フラッグ8F 高松市瓦町市民活動センター第2会議室

参加者:7名(男5・女2)

課題:小川洋子「ことり」

今回も初参加の方をお迎えしての会でした!

五月晴れにツバメ舞う愛鳥週間にからめての選書でしたが、2ndMemoryで取り上げる著者として小川洋子さんは「猫を抱いて象と泳ぐ」「博士の愛した数式」に続いで3作目となります。どんだけ好きやねん。

無償で幼稚園の鳥小屋の世話をしていた事から「小鳥の小父さん」と呼ばれていた男性が、自宅で死体となって発見されることからはじまる「一生」の物語。

ポーポー語なる、小鳥の鳴き声を模した言葉でしか話せない兄をもった小父さんの幼少から青年期、そして天涯孤独になってからの初めての恋、いわれもない差別……ひとりの、この社会で生きてゆくには様々な生きづらさを抱えている小父さんの姿に参加者の皆さん、色々と思うところがあったようで、おおいに会話がもりあがりました。

・大事にしていた小鳥の死体を川に投げ捨てたのは何故か?

・尾崎豊の歌のように鳥籠の蓋を開けて逃走した小父さんの行動は「社会」への反抗か?

・お兄さんはなぜ自分の小鳥を飼おうとしなかったのか。

・お父さんの死因は自殺か、はたまた自然死か。

・鈴虫の老人は小鳥の小父さんと対比するためのキャラ?

・チョコを食べなくなったのは、思い出を上書きしないため? それとも思い出したくないため?

同じ作品を読んでいても、色々な読み方がでにるのが小説の面白いところですよね。今回はホワイトボード使えたので、皆さんの疑問点を見える化することができ、話題が戻るべきホームポジションがはっきりしたこともプラスの点ですね。

小父さんの恋は実って欲しかったところもありますが、アプローチのやり方とか、勝手に「これは彼女からの俺へのメッセージだ」と拡大解釈する様とかはちょっと引くよなぁ…と突っ込んだり。彼女からのリアクションが無いのが、雄弁に「無理です、ごめんなさい」と語ってるみたいな。

現代社会においては、Twitterなる小鳥がさえずり、町の人々が小父さんにしたような「正義の鉄槌」がまかり通る世の中ですが、小鳥がさえずる早朝や、蛙が鳴く夜にページをめくってみるのも良いのではないでしょうか。

小父さんとお兄さんが庭に設置したテーブルのように、ことり達が遊びにやってくる、とまり木のような読書会を続けていきたいですね。小学校の頃に森に設置した鳥の巣箱には誰も入居しなかったけど…。

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!

ことりの群れ。ひとりではない。

フラッグ地下のパン屋で買ったレモンクリームパン。うめぇ。帯のレモン色も実は作品と関連しています。

駅ビルと、ことり。という事でSuicaTシャツ。「銀河鉄道の夜」の回以来の登壇。ことちゃんTシャツ販売すれば売れるとおもうんだ。

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次回は6月16日(日)14:00ー

ナブコフの「ロリータ」を取り上げます。

ニンフェットーー子どもでもおとなでもない、妖精的な少女を、その概念で呼ぶ中年男の目の前に、ドンピシャの少女「ロリータ」が現れた。

これぞ福音と彼女に近づくために、彼女の母親と結婚してしまう中年男。

恋愛小説、2人の旅のロードノベル、はたまた暗い無ノベル・・・?

様々な読み方ができ、ファッションやコンプレックスで現代においても多大な影響を与えている古典作品。読んでおくと、どこかで会話の役にたつかも・・・しれない。

手にとりづらいという人も「課題図書だから」と思えば心理的な抵抗も減るのではないでしょうか。最近はAmazonとかで人の目を気にせず買えますし・・・でも大きめの書店に行けば置いてある=名著であるのも事実。上半期も終わる六月こそROCKな一冊で冒険してみませんか?

旧ワシントンホテルプラザ、Webase高松で開催するので、アクセス抜群!

参加申込はこちら⇒「参加申し込みについて」

レポート作成:はじめ