あけましておめでとうございます!

独りであること、未熟であること、これが私の35歳の原点である——1月1日に誕生日を迎えるも、色々あって2日から寝正月ならぬ寝込み正月になったけれど、そういった経験もまた高野さんにシンクロするきっかけとなりました。今年も皆さんにとってよい1年でありますように!

 

下記の内容で、新春第1回目となる課題読書会2nd Memory が開催されました。

 

日時・2019年 1月6日(日) 14:00ー16:00

 

 

課題「二十歳の原点」

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会場・タリーズコーヒー 高松サンシャイン通り店

 

 

参加者・8名(男2・女6)

満席御礼!

 

1月は成人の日! という事で「二十歳」となればコレだろ、とこの作品を課題選書しました。

2nd Memoryは小説限定の課題読書会としてスタートしましたが、「二十歳の原点」は今から50年前、京都の大学生だった高野悦子さんが自身の誕生日である1月2日から、自殺する2日前まで記した「日記」であります。広い意味でとらえるならば「文芸」なのでアリでしょう。

今回はなんと3名もの新規の方にお越しいただけました! SNS経由の方もいれば、外部イベントで読書会の事を知っての方もいらっしゃいましたが、共通していた事は「新年に新しい事をはじめよう」という考えでした。

今年は年号も変わりますし、思いきってなにかをはじめてみる、というのに相応しい1年なのかもしれませんね。

 

さて「二十歳の原点」。

参加者8人のうち、2人はかつて二十歳の頃に読んだという経験をお持ちでしたが、当時はそれほど・・・という感想だったそうです。この辺は個人差もあるんでしょうけど、現代では平均寿命伸びて成人30歳とかだし、今から50年前の二十歳だと、結婚している女性も多かった部分もあるのかもしれません。

 

しかし逆に、読み手が高野さんが経験できなかった実社会を体験した事により、その悩みなんかに寄り添って読む事もできるわけで・・・皆さん、薄さの割に内容が重たくて数日に分けて読んだというデータが採れました。

 

1月から3月くらいまでは詩を書いたりアルバイトしたりなんですけど、新学期の4月になってから、学生運動で顔面パンチ貰ったり、刃物で自分の皮膚切って包帯巻いてみたり、酔いつぶれたりとちょっと雲行き怪しくなってゆきます。

 

自殺の原因は、もうそれは本人にしか分からない事で、我々読者は遺された日記から推察するしかないのですが、私なんかは何も死ぬ事はなかったのではないかなぁと思ったりします。あと一月もすれば夏休みがはじまって、一度大学から離れて自分を見つめ直す機会があればなぁ・・・。

 

日記の後半部分にある詩なんかは、体は現世にあるが、精神の部分は死の世界にもっていかれているような感覚を受けます。うーん。

 

日記、というキーワードから、日記は誰に向けて書かれているか? → 自分に向けて、ゆえに自分の思考や思念がダイレクトに投射され、どんどんネガティブな方向にのめり込んで行ったのでは? という意見もあれば、更に「交換日記」に派生し、

 

交換日記は相手(他者)に読まれる事を前提に書かれる、参加者さんの実体験から、言いづらい事も伝えられるといった効用が語られました。ネットに公開されているブログなんかもまた、自分のなかでのアウトプットもあれば、他者への公開という意味もありますよね。まさに、このブログもそうだけど!

 

個人的にはすべての二十歳にオススメする1冊なのですが、他の参加者さんからは、感受性の強いタイプは落ち込むかもしれない、という意見がありました。押し付けるのではなく、そっと薦めるでなく、管楽器のチューニング響く放課後、誰もいないクラブハウスでOBが置いておった文庫本の中にある「二十歳の原点」をパラパラとめくる・・・みたいな映像を幻視。

 

バイト先の休憩室や部室に置かれた「ノート」に綴る伝言・・・ノートのなかでのみコミュニティ取れる存在、やがてノートにも現れなくなり、会わなくなる、会えなくなる・・・これぞ昭和! 「二十歳の原点」を読むと50年前にも「コンパ」という言葉は普通に存在するも「テレして」なる言葉も。現代に言い換えるなら「ラインして」になります。

今年は改元の年で、新年号の「元年」に産まれた子どもたちも二十年経てば成人となり——っていまは成人は18歳でしたね、いやはや。

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!

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副読本としておすすめ。どこかに自分のことを理解してくれる友人がいるというのは幻想。自分と他者との適切な距離を探ろう。

 

 

チーズケーキ、うめぇ

皆さんピンとくる所に付箋貼ってますが、人によって異なるのが面白い。みんなちがって、みんないい。

この本で「二十歳の原点」が紹介されており、気になって手に取りました。

文芸漫画「鈴木先生」5巻「掃除当番」のエピソードより。諦観した人間が到達してしまう孤高・・・。いつか漫画を課題にした読書会もやってみたいですねぇ。

 

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★次回は2月17日(日)14時ー

2月の祝日「建国記念の日」と「改元の年」をからめ、王道異世界ファンタジー「十二国記」のエピソード1、「月の影 影の海」を課題とします。

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どこにでもいる平凡な女子高生だった、中嶋陽子の前に現れた、金髪の青年ケイキ。

突如として学校に襲いかかる巨鳥、青年もまた数多の妖魔を呼び出してこれを迎え撃つ。「何も知らされない」まま十二の国がある異世界へと連れてこられた陽子はケイキとはぐれ、災いをもたらす者として迫害され、執拗に何者かに追跡される。

多くの人と出会い、陽子は自分に課せられた「天命」を知る。

 

・昨年末、ついに新作が今年には発売されるであろう事が公式アナウンスされるや、Twitterでトレンド入り、6万RTされたりしたのも記憶に新しいシリーズ作品のエピソード1です。大元のレーベルは少女小説ながら、その骨太の世界設定やキャラクター達は世代や性別を越えて親しまれ、後続のファンタジー作品のお手本というか、平成を代表する国民的シリーズとなりました。

かつて愛読していた人はもちろん、初めてこの世界に触れる人も楽しめる、国産ファンタジーを語る上での一般教養にして必修科目。読んでおいて間違いなしの一作。

二十歳の原点 → 転元の歳・十二

 

 

 

 

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