秋雨前線による曇り空が讃岐平野を覆った9月中旬。

作中でアニバーサリーマンスとされている9月にひっかけ、下記の内容で読書会を開催しました。

 

 

日時・2018年 9月23日(日) 14:00ー16:00

 

 

課題「きらきらひかる」

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会場・タリーズコーヒー 高松サンシャイン通り店

 

 

参加者・7名(男4・女3)

 

 

今回も初参加の方をお迎えしての開催でした。また、久しぶりにお顔を見れた人もいらっしゃり、楽しい時間を過ごせました。

 

読書会も含めて、社会人のコミュニティというのは、鳥の止まり木のようなものらしいです。飛び去っていっても、戻って来るケースもあれば、新天地を求めて飛び去ってゆくケースも。甲子(きのえね)の私もひろく根をはって、どっしりとありたいですね。

 

 

「きらきらひかる」。昨年の香川県高校生ビブリオバトル大会でのチャンプ本。

 

ビブリオバトルといえば、10/5にバトラーとして登壇します。

 

10月5日(金)20時〜 会場・高松TOONICE 入場無料 要2ドリンクオーダー

既に20名近いバトラーが参戦予定とのこと。4名程度のグループでの予選→各グループのチャンプによる頂上決戦。時間のある人は観に来てね。

 

 

さて、本編。

 

 

 

私は、昨年のビブリオバトルがきっかけで読んだ口なのですが、この作品は女性陣は過去に読んだという人が多かったですね。読みやすいため、スムーズに読めたという人もいれば、逆にすっと入って、すっと頭から抜けていくといった人も。

 

アル中とホモという、それぞれ異なるマイノリティ同士が結婚。そして夫の恋人である、美青年。妻と恋人にも友情めいたものが芽生える、不思議な三角関係・・・恋愛小説というよりも、愛情小説と呼べばしっくりくるような?

 

江國香織と言えば、押しも押されぬ恋愛小説の大家。小説全般が好きというより、江國香織の小説が好き、という層も多いのでしょう。さながら男が好きというより睦月が好きなんだと語る紺くんのよな?

 

 

整った男性同士の色恋という点も、昔はスっと読めたが、いまではちょっと綺麗すぎる、現実的ではないような? という再読者の感想もありました。

 

 

現代の女子高生達がキャーキャーと感想に花を咲かせるといった点では、作品が上梓された平成初期では、この手の恋愛は「珍しい」ものであるため、問題作のような扱いをされたかもしれないが、平成も終わり、新しい時代が幕開けようとしている現代においては珍しくもない事象——江國香織の感性が早いといった指摘も。

 

 

この辺は、昨今話題の「生産性」云々ともリンクしますよね。

いまは沈静化した感じですけど、新潮社の雑誌部門と文芸部門はカラーが異なり、社内で対立する構造でもあり——本作はバリバリの新潮文庫ロングセラー・・・外野的な意見だと、ちょっと面白い構図ですね。

 

 

外野といえば、互いの両親がそれぞれの子どもがいかに結婚相手として「普通ではない」と糾弾する、終盤の親族会議。この辺も平成初期の世相を反映というか、田舎なんかだといまでも根強く残る「結婚して一人前」という価値観が前面に出ているような。

 

 

私も三十半ばで、この手の同調圧力なんか感じるし、生産性云々言われると、色々思うところはあるのですが・・・すごく難しい問題ですよね。親の顔を立てるだけのお見合いで、互いに「結婚する気がない」という点で意気投合して結婚・・・うーん? お見合いパーティとかいくと、なんか喋らなきゃとか、その数分を笑顔で乗り切り大人の対応を求められたり、メンタルごっそり削られて・・・そもそも数分のフィーリングだけで次のステージに行こうとするのが、あんまり・・・まぁ、ええわ。幸福のあり方は人それぞれ、妬むな、ひがむな。

 

この辺の「普通」とは? については、過去から現在に至る結婚観から派生し、LGBTなどの性的嗜好から、作中でアル中とされる笑子はどっちかと言うと、現代で言う所の発達障害的な? といった様々な枝葉に分岐してゆきました。

 

 

30年ほど前の作品なのに、いまなお一線級の議論の幅を持つ優れた作品ですので、未読の方は是非読んでみてください。新刊でも、ワンコインで買えてしまうのも魅力です。

 

 

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!

 

短編集「ぬるい眠り」には、本作の10年後の続編が収録されています。

シフォンケーキ うめぇ。

表紙とおそろい。「青の炎」を読んでロードレーサー熱が再燃し購入。雨の日の納車! 角度と光の加減によって、きらきらひかる。

きらきらひかる、その2。
ロードレーサーのフレームカラーにあわせた度入りのサングラス。

 

 

 

 

★次回は10月21日(日)角野栄子の「魔女の宅急便」を取り上げます。

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満月の夜に、独り立ちのために親元を離れた魔女のキキと、相棒の黒猫ジジ。

 

 

 

 

たどり着いた海辺の町ではじめた、空飛ぶ運輸業。

 

 

 

 

この作品を原作にした、スタジオジブリのアニメ映画の印象が強いですが、読書の秋に原典に触れてみてはいかがでしょうか? ・・・にしても、個人向けの宅配便が空輸で関東の倉庫から1日で届く世の中になるとは喃・・・。

 

 

 

 

 

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レポート作成:はじめ