前代未聞の大雨や、異常なまでの高温・・・私、汗っかきのため、梅雨明けからこっち、洗濯機のドラム鳴り止まぬ日はありません。
 
 

読書会開催報告の前に、先週 7/15日(日)に行われた、「海の見える一箱古本市」のプレイバック。
 
後半は完全に軽い熱中症で「ここがシルクのごだるうどんロードの交差点、高松砂漠のなかのオアシスや!」と霞んだ視界にラクダの隊商が見えたり見えなかったりでフラフラしておりましたが、多くの人に遊びにきていただき、感謝です。過去に一度、私、熱中症でぶっ倒れた経験あるのですが、本当に目の前が真っ暗になって、気付いたら倒れてますからね。こまめな水分と塩分!
 
関西を拠点に持ち寄り型読書会されている人や、愛媛で課題読書会やっている人、読書メーター関係で知りあった方や、読書会常連の人、昔読書会でよくお会いしてた人、そして一期一会の出会いの方々。
 

今年の文庫Xはなんちゃって短歌。


差し入れをいただきました。南無南無。


知らぬ間に撮られててびっくり。さすがプロカメラマン、刈り込まれた頭と首に巻いたタオルと扇子に怪しげなTシャツ。どっからどうみてもバナナ売ってるテキ屋のあんちゃんです!


 
 
さ、気を取り直して読書会。
 
 

日時・2018年7月22日(日) 14:00ー16:00
 
課題「青の炎」
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会場 タリーズコーヒー 高松サンシャイン通り店
 
参加者・8名(男5・女3)
 
今回はなんと3名もの初参加の方をお迎えしての会でした!
 
タリーズさんのレンタルルームを借りての開催は、昨年7月に行った「忍びの国」以来でしょうか。「忍びの国」は大野智主演で、今回やった「青の炎」は二宮和也主演……おっ、嵐つながりやん。
 
 

 
 
さて、「青の炎」。今年の夏のカドフェスのラインナップにも入っているので、書店でみかけたという方も多いのでは?
 
奥付を見ると、ロングセラーで刷数がすごいことになっています。1999年刊と、ほぼ20年前の作品ーーオギャアと産まれた子どもが、悪いことすると実名報道されるという責任伴う歳月。
 
当時のネット環境は、都会でやっと定額制、田舎ではマシンガン連射のあとに断末魔をモデムがあげ、ネットに「ダイアルアップ接続」していた時代でしょうね。私が小学生高学年の頃、実験的に月に1回土曜日が休みになり、中学から高校時代に隔週土曜日が休みになった。作中にもそんな休日の描写もあり、時代を感じますね。
 
 
物語は、優等生の男子高校生が家にあがりこんできた母のかつての再婚相手(自分とは血の繋がりはない)に対する静かな殺意が、ついに臨界を越えて「強制終了」させるための完全犯罪計画へとシフトしてゆく、犯人目線で描かれる「倒叙ミステリ」です。
 
WHOーー主人公 WHYーー家族を守るため HOWーー作戦コード・ブリッツとスティンガー(厨2的なセンスだな)
 
主人公は別にサイコ野郎というわけでもなく、家族を横暴な侵入者から守るために、それまで17年間培ってきた知恵を絞ってたった1人で社会という「大人のシステム」に立ち向かって行きます。
 
17歳という年齢が、大人でも子どもでもないという意見もある中、私個人としては、バレなきゃ飲酒しても、露見しなければ害虫的な人を殺してもいい……という考えはちょっとガキっぽいかな、という印象。
 
もっとも、すごい秀才で、彼ぐらいのレベルになってくると他が馬鹿に見えたりもするんだろうなぁ。恋愛感情や友情というのを、どこか醒めた目で見ながらも家族への「情」には厚い……自分に酔っている? あるいは殺意を肯定するための理由付けとしての「家族を守る」という意思。
 
救いの無いラストシーンに対しても、もう少し何かなかったのか、主人公の取った行動は、他者の動きに対する配慮がやや足りない気も。 等等、けっこう厳しい人物評が繰り広げられました。
 
作品自体も、発表された当時や、数年前、あるいは、ちょうど主人公と近しい十代の時に読んだという人もいれば、今回の読書会がきっかけで初読だったが、勢いにのって夜更かしして読破といった声も。
 
二宮和也の映画やwikiなどで、でかでかと少年犯罪と喧伝しているせいか、事前情報で「人が死ぬのか…」と身構えて読んだという人も。
 
「強制終了」の実験を繰り返す、秘密基地的なガレージ。同じ年頃の息子さんを育てた経験のある方のお話で、プライベート空間である部屋にまつわるアレコレ……私も「勝手に入んなよ!」とか思い当たる節はけっこうあります。女性なんかだと、男ほどそこまで母親と衝突はせずに、なんでも話すといった関係になったりするそうです。
 
まぁ、でもこのガレージ、当時は20万越えがザラのPCが2台置いてあったり、高価なロードバイク乗っていたり、いくら深夜のコンビニバイトをしていたとしても追いつかないほどの出費を計画実行のために投資する姿はどこかボンボンの臭いが(祖父母の遺産ほとんどを食尽されたと言っても、お屋敷)。
 
主人公に寄り添って読むと、包囲網を狭めて来る刑事に対して「なんやこいつ、人の家庭の事情も知らんでからに。逃げろ、逃げ切るんだ!」と応援してしまいますが、社会秩序という観点からすれば、理由は如何にせよ「人を殺した」事実のある者を野放しにしておくわけにはいかないわけで……読了後に今度は一歩引いて俯瞰して読んでみると「いやいや、無理だってその計画!」と今度は突っ込みたくなる場面も多々。いくらなんでもコンビニに100万置いとくマニュアルなんてねぇよ、しかも大手じゃない! 
 
「家族」が話の核となり、作品内容は青春、恋愛小説としての側面もあれば、「イヤミス」とも呼べたりもしますが、今回も楽しい会でした。私のなかで、けっこう『結論として、●●が悪い』という意見は賛同。もう少し互いが歩み寄れれば何かが変わった未来もあったかもしれませんね。それだとミステリにならないけれど。
 
酷暑のなか参加いただいた皆さん、ありがとうございました!
 

読書会開催日である7月22日の翌日、ピンポーン!

「青の炎」ということで、ブルーのボーダーと時計


広い! 最大10人くらい集まれそう。


アイスコーヒーにバニラアイストッピングでコーヒーフロートに。

 
 
 
★次回は8月19日(日)真っ赤なお日様の下、冒険に漕ぎ出そう! ということで海洋冒険の金字塔「宝島」を課題とします。

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「片足の男に気をつけろ」家業である宿に転がり込んで来た男に小遣いを渡されて警戒するように促される少年ジム。

男の怪死。そして開かれた、財宝が眠るという島への航路。素人の集まりである善良なる人々の冒険をサポートしてくれるのは「片足の男」シルバー。

いざ島に着いてみれば、牙を剥く海千山千の海賊たち

友情・努力・勝利! 今日にもその「遺産」が多く受け継がれる児童文学の傑作!

 

参加申込はこちら⇒「参加申し込みについて」

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