4月なのに30度に届こうかという夏日。黄砂や花粉が猛威を振るう、4月第3日曜日、

 

下記の要項で課題図書型読書会2nd Memoryが開催されました。桜前線北上中!

 

課題図書:「君の膵臓をたべたい」
[amazonjs asin=”4575519944″ locale=”JP” title=”君の膵臓をたべたい (双葉文庫)”]
日  時:2018年4月15日

会  場:珈琲哲学 高松店 14時ー16時

参 加 者:7名(男4・女3)スタッフ含む

 

満席御礼! 今回は初参加の方を2名お迎えしての開催でした! 新年度で気分一新、読書会にぶらりと遊びに行くというのも楽しいですよ。

 

2016年の本屋大賞2位にして、住野よるのデビュー作。

 

膵臓の病で死に向かってゆく美少女と、文学青年の物語。

 

実写映画もヒットし、アニメ映画公開も控え、まだまだ「キミスイ」ブームは終わらない感じですね。もっとも、周りで「キミスイ」と略している人いませんが・・・。

 

個人的にはフィクションとはいえ、安易にお涙頂戴で美少女が病で死ぬという話はよろしくないんじゃないの? というスタンスではありますが・・・読んでしまうんですよねぇ、これが。

おおむね、参加者の方も涙する読書体験であったようですが、住野よるの伏線の張り方なんかがあざとすぎる、分かり易すぎる、といった指摘も。

このへんは好みの分かれそうな意見ではありますよね。私も住野よるが、デビュー作でこの構成力というのは脱帽するのですが、「作り物」(創作ではあるんですけど)の物語感が強いのは否めないという立ち位置です。もっとも、わざと安易な文章でストーリーを運び「君の膵臓をたべたい」という言葉の力を引き出すのまで計算づくなら、末恐ろしい筆力でもあると思います。

作者の予備知識なしで読んで、女性的な印象を受けたという参加者も多かったですね。私もその口で、初読のときは「きっと素敵な人なんだろうな」と読後にネット検索→男!?→夢をぶち壊されたとまでは言わないけど、なんか・・・モニョ。面白ければそれが大正義だけど、作中のキャラに恋する作品ならば、やっぱ作者にも恋したいじゃないですか?(知らんがな)

作品を読み通してみれば、主人公の男子の、喪失を伴う成長譚としても読め、補完しあう対極の存在である男女ーーしかし、共依存というわけではなく、互いを高めあう関係、といった話題から男性から女性の、女性から男性への「尊敬」、そしてそこから「恋愛感情」へと発展してゆく事などが語られました。

そしてまた、こういった難病モノを語る上では避けては通れない金字塔ーーセカチューこと「世界の中心で愛を叫ぶ」もまた、話題の中心へ。香川県ロケの映画版(長澤まさみ)かドラマ版(綾瀬はるか)どちらが好きかは人の好みそれぞれですかね。私は綾瀬はるかかなぁ。

良くも悪くも、病気の美少女が恋の炎を燃え上がらせて、若くして逝ってしまう、という王道はセカチューで完成されたと言っても過言ではなく、キミスイではそれを逆手に取ったようなヒロインの死・・・そこもちょっと意見の割れるポイントでしたね。4/21現在で尾道の脱獄囚捕まっていないのとか、怖いですものねぇ。(読めばわかる)

映画版は、まだ見ていない人も多かったですが、原作をうまく料理していて、私としては高評価。
元気印のヒロインの透明感が、病気で血管透けて見えそう・・・というアナログな病気の少女という印象ではなく、主人公と同じように「ほんとうに死ぬの?」「死ぬよー」という流れに「ああ、彼女は90分後には死んでしまうんやぁ」と変に感情移入してみたり。

2016年の本屋大賞2位でしたが、書店員さんが海のものとも、山のものとも定まっていない新人作家のデビュー作を「売ろう」「これがNo.1だ」と票を投じた結果が2位というのも素晴らしいですね。
その年の大賞は宮下奈都の「鋼と羊の森」でしたが、宮下先生の「太陽のパスタ、豆のスープ」に出て来るやりたい事リスト「ドリフターズ・リスト」と、キミスイの女の子が「共病文庫」に記したやりたいリストが私のなかで妙にクロスしたり・・・まぁ、終活というか要はエンディング・ノートなんだけどね。

2018年の9月1日にアニメ映画公開されるし、流れ的にセカチューのようにTVドラマ化とかもされるかもしれないし、恋愛小説というジャンルを語る上では必修科目的な1冊ではないでしょうか。ゴールデンウィークに読む本ないかなと、ぶらりと書店に立ち寄れば、きっと置いてあるテッパンな一冊。オススメ。君と雑炊をたべたい、もちろん玉子の黄身入りで!

 

ご参加いただいた皆様、どうもありがとうございました!

 

★次回は5月20日(日)みどりの日、憲法記念の日、子どもの日と大型連休ということで、緑色の服を来て、楽園のルールを決める永遠の子どもーー「ピーター・パンとウェンディ」を取り上げます。

 

[amazonjs asin=”410210402X” locale=”JP” title=”ピーター・パンとウェンディ (新潮文庫)”]


子どもが等しく心のなかに持つという、ネバーランド。
そのネバーランドに暮らす、多くの子どもたちのリーダー、永遠の少年「ピーター・パン」
宙を舞い、海賊団を率いるフック船長と終わらない戦いに明け暮れる日々。
そんな彼が、人間界にやってきた時に落とした影。それを拾った少女ウェンディとの出会い。
永遠の少年といまを生きる少女のボーイ・ミーツ・ガール。
誰もが幼い頃に絵本やアニメで親しんだはずが、細かいストーリーを忘れたという人も多いのでは?
いまこそ童心のメモリーを呼び覚ますときかもしれません。

 

参加申込はこちら⇒「参加申し込みについて」

レポート作成:はじめ