猛暑日が続き、梅雨明けもそろそろという7月中旬。課題図書型読書会2nd Memory(セカンド・メモリー)が下記の内容で開催されました。

 

夏に向けて体を引き絞ろうと、バナナやゼリーといった流動食メニューでカロリーを抑え、腹筋をチョコモナカジャンボの如くバッキバキにしようと運動に励むも、栄養失調か夏バテ内蔵冷え性。。。

 

お好み焼きのモツ玉で、病んでいる部位と同じ部位を摂取する事で快癒に向かうという考えーー同物同治を試みるも、別に科学的根拠はないみたい。。。モツ大好き。

 

 

課題図書:「忍びの国」
[amazonjs asin=”4101349770″ locale=”JP” title=”忍びの国 (新潮文庫)”]
会  場:タリーズコーヒー サンシャイン通り店 14時ー16時
参 加 者:6名(男3・女3)スタッフ含む

 

今回は伏石から林町に移転オープンした、TSUTAYA併設のタリーズコーヒーさんの有料ラウンジを借りて開催しました。
大型モニタやスピーカーなど、音響施設が豊富。DVD鑑賞会なんかにも利用できそうですね。

 

 

課題としたのは、2週間前に嵐・大野智主演で劇場公開された「忍びの国」の原作小説。
戦国の覇者・織田信長が唯一攻めなかった、伊賀の国。人を人とも思わぬ虎狼の族と蔑まれる伊賀忍者を攻め滅ぼさんと兵を向ける、信長Jr、織田信雄。
圧倒的な兵力差でねじ伏せられると踏んでいたが、「伊賀一の忍び」たる無門の秘策により、息を吹き返して反撃の狼煙を挙げる忍びら。
史実である「天正伊賀の乱」を膨大な史料を読み解いた著者が無門というアクセントを加えて描く、痛快時代劇。

 

 

私は数年前に小説を読み、映画鑑賞、今回の読書会に向けて再読という形を取ったのですが、参加者の方も読んでから観た、観てから読んだ、映画はまだ観ていないと、様々なタイプに分かれました。

 

映画の脚本も和田竜自らが手がけているので、小説と映画、両方をチェックすれば作者が映画化に向けてどのような変更を施したのかが明らかになります。話の本筋・結末は変わらないが、微妙に細かい変更があるので、探してみると面白いです。小説で描写された忍術が消え、間抜けな効果音とともに繰り出される新忍法。

 

 

個人的には石原さとみ演じる、無門の妻・お国が、稼ぎの少ない旦那にゴミを見るような目をする演技に変な所でゾクゾクしました。無門と互角の力量を持つエリート忍者を演じる鈴木亮平が肉体美を披露しなかったのが少し残念です。ドラマ「精霊の守り人」セカンドシーズンで鎖に吊るされて、氷のプリンスを演じる高良健吾に処刑されかけるシーンみたいなのを期待したのがいけなかったのでしょうか。

 

 

会を通して出た意見として、

 

 

・女性キャラが少ない。メインで出るのはお国くらい。和田竜作品全体を見ても、女性キャラというのは少なく、本屋大賞を受賞した「村上海賊の娘」は主人公は女性であるが、男まさりキャラ、思考とかほぼ男。和田竜は女性描くの苦手?

→まだ本決まりではありませんが、「村上海賊の娘」2020年に大河ドラマ化? の噂話。キャスティング予想に花が咲きました。アクションをこなせる綾瀬はるかは少しとうがたっているし、八重の桜で既に主演経験済み。
体育大生の土屋太鳳あたりが適任かも? 大河ドラマなのか映画化なのかはわかりませんが、映像化するのは海上ロケとか大変そうですね。

 

 

・小説を読み、アクションシーンを期待して映画を観たが、期待ほどではなかった。アクション映画ではなくアイドル映画としてなら・・・。

 

 

→すばしっこい忍者というイメージなら、細身で軽やかに踊るジャニーズ系というのは適任なのかもしれません。映画を観にいった時、大野君ファンと思われる層として、ティーンエイジャーも入れば、年配の方、小さな子ども連れ(母親と娘の二世代ファン?)と様々な人たちが。リアル忍者的な動きをする人たちとして、フランスのパルクール集団「ヤマカシ」についての言及も。そしてガチアクション映画として、ムエタイ少女が活躍する「チョコレート・ファイター」が紹介されました。YouTubeで予告見ると、かなり危ない。ガチ陸奥圓明流。

 

 

・参加者の世代による「忍者」の代名詞的作品について。
仮面の忍者赤影、忍たま乱太郎、忍者ハットリくん、白土三平作品etc
どの世代にとっても、超人的な動きをする忍者とは「ヒーロー」たる存在。

 

 

・他の和田竜作品にも触れたが、作者の時代考証の参考文献一覧がすごい。それでいて文体が現代人にもわかりやすく、広い世代に受け入れられる。解説で絶賛している児玉清さんが存命なら、どんな役で出演しただろうか。

 

 

・それぞれのキャラが立っている。それでいて、伊賀忍者は金が大好きという点においては徹底され、資本主義の走狗とも読める。

 

 

・冷血な戦闘狂として描写された伊賀忍者のなかにあって、無門が最後に「目覚めた」事への感動。

 

 

・ひとつの城が買えるほどの茶器。現代における高級腕時計をはじめとするハイブランドの品々は、物体に付随する「ストーリー」によってその価値が跳ね上がる。

 

 

今回もたくさんの新たな発見があり、楽しかったです。
夏休み映画商戦はこれから学生の夏休みを迎え本格化していきますが、グロテスクというより喜劇、チャンバラ的な側面が強い映画ですので、まだの方は候補のひとつに加えて見てはいかがでしょうか。海ならパイレーツ、山なら忍び、空ならメアリ・・・的な。
無門にはじまり無門に終わった感のある作品ですが、サクサク読めるという点では手持ち無沙汰の中学生男子なんか熱くなれるんじゃないでしょうか。大野くんイメージで読み進める女子なんかもきっとたくさんいるでしょう。新潮の夏の100冊にも入っていますので、現在とても手に入りやすくなっております。

 

猛暑のなかご参加いただいた皆さま、どうもありがとうございました!

 

※影分身の術! 帯が多彩ですね。

※ラウンジの壁画。香川県の特徴、よくとらえています。

※今回のネタTシャツ。「忍者」をテーマにセレクト。

かつて不良(ワル)の読書家としてならした品川祐は「忍びの国」の忍者の決闘「川」を絶賛。
「川」はリングの外に出たものを味方であっても強引にリングに押し戻すプロレスの「ランバージャック・デスマッチ」
会場は「サンシャイン」通り。
サンシャイン=キン肉マンに登場する悪魔六騎士。夢の超人タッグ篇ではランバージャック・デスマッチを経験。
悪魔六騎士の同僚「ザ・ニンジャ」と新日本プロレスのコラボTシャツ。
変わり身の術=迷彩柄
迷彩柄のパンツと時計ベルト=キン肉マンソルジャー。
ザ・ニンジャ=ソルジャーチーム先鋒(=はじめ)
オレンジの時計文字盤=最近の「忍びの国」文庫の背表紙→オレンジ色→忍者漫画「NARUTO」の主人公着用ジャージ

今回はコンセプト通りにまとまった。サンダルじゃなく地下足袋スニーカー履いてたら完璧だったな。どろん!

 

次回は8月20日(日)
泉鏡花の「高野聖」を取り上げます。

[amazonjs asin=”408752034X” locale=”JP” title=”高野聖 (集英社文庫)”]

[amazonjs asin=”B009IXGOYQ” locale=”JP” title=”高野聖”]


旅の途中で道ずれになった、好々爺然とした和尚と若者。
雪の夜、寝物語に語られる、和尚が若い頃の思い出(メモリー)。
ある真夏の日、深山幽谷で出会った美しい女の秘密。
雪の夜→夏の昼→雪の夜→夏の夜。
振り子のように過去・現在を行き来し、夏の「夜」に訪れる怪奇。
ひんやり涼しくなる物語で残暑を乗り切りましょう。

※青空文庫で無料で読めます。古い作品かつ文体に特徴があるので、目で追うだけではやや読み辛い部分もありますが、口語体のため、実際に口に出して読むと頭に入ってきやすいかもしれません。

口語訳版や、Wikipediaで詳しいあらすじは載っておりますので、読める範囲まで自力で読み、難しい部分は補完して会に臨んでいただけたらと思います。

参加申込はこちら⇒「参加申し込みについて」

レポート作成:はじめ